『第55回上方漫才大賞』が11日にカンテレとラジオ大阪で放送され、お笑いコンビのシャンプーハットが大賞を受賞した。

  • シャンプーハット=カンテレ提供

演芸評論家・記者らによる審査会を経て大賞に選ばれたシャンプーハットは「めっちゃうれしいです!」と声をそろえて喜んだが、芸歴26年、そして2012年に奨励賞を受賞してから8年を経ての大賞受賞となる。

自身の著書『パパは漫才師』第1巻の第1話1コマ目に「“上方漫才大賞”目指して頑張ります」と書いてあるほど、思い入れが強かったこいでは「今日ひとつ夢がかないました」と笑顔。

ツッコミのない独特のスタイルで、世間では“Wボケ”とも言われるシャンプーハットの漫才だが、こいでは「正直、『漫才大賞をなかなか獲れない理由はそのスタイルじゃないか、漫才大賞用に漫才を1本作った方がいいんちゃうか』っていうアドバイスももらったりしたんですよ。でも『このスタンスで獲らんと意味がないな』と思っていたので、それを認めていただいたのが、すごいうれしいですね。僕らの後で奨励賞を取ったダイアンが2018年に大賞を獲ってちょっと気まずくなったり。『あれ?(俺ら)忘れられてる?』って(笑)。毎年賞を狙うためにイベントをして、全国ツアーもやりました。でも、今年1年はあんまり大きな動きをするというよりは、出番を入れてくれた劇場で漫才を全力でやっていました。しかも、今年は状況も状況なので、大賞をもらえるなんて一番考えてなかったです」と試行錯誤の末、手に入れた栄冠への想いを語った。

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、今年はオリックス劇場からの生放送が中止。本来なら観客の前で漫才を披露する予定だったが、てつじは「2人で泣きながら、これまでのことを思い出しながら漫才しよとか色々考えてました(笑) 今回頂いてうれしいですけど、また2回目3回目の大賞を獲って、皆さんの前で漫才ができることを目指して頑張ります」と新たな目標を明かす。

受賞を一番に伝えたい人は誰かという質問に、こいでは「帰ったら一番最初に玄関に来てくれるメス犬のザラちゃんです」、てつじは「妻にだけは実はこっそり言いましたけど、いまいちピンと来てなくて、僕との温度差が逆に良かったです」とそれぞれプライベートな顔をのぞかせた。

最後に、昨今の状況を踏まえ、こいでは「受賞してうれしい反面、お客さんの前で漫才がいつできるか分からないので、その日を楽しみにやっていくしかないです。日本が大変な時期に僕らが獲らせてもらったのは何か意味があると思います。たまたま今日僕らが代表して話しているだけですけど、僕ら以外の漫才師も皆さん思っていますが、何とか日本を盛り上げていきたい」、てつじは「ある意味印象に残る年の漫才大賞をいただけたので、劇場がオープンして皆さんの前で漫才が披露できるとき、この賞に恥じないような漫才をしたいなと思います」と、それぞれ願いを語っていた。