一億総活躍社会の実現を目指して政府が働き方改革を主導していることもあり、副業人口やリモートワーク人口も増えてきています。そんな中、都心部から地方へと赴く副業・兼業者を対象として交通費を補助するという報道が出ました。

具体的な内容はまだ公表されていませんが、さらなる副業促進や地方活性化が期待できる新制度の内容を見ていきましょう。

  • 地方の副業&兼業に交通費補助、新制度の概要は? ※画像はイメージ

副業&兼業者に対する交通費補助制度とは?

同制度は、令和2年度予算の閣議決定で計上された「地方創生推進交付金」を活用して実施されるものです。予算の決定にあたり、北村内閣府特命担当大臣は記者会見でこのように発言しています。

「地方移住のすそ野を拡大するため、関係人口の創出・拡大に取り組んでまいります。具体的には、都市に住む方々の地方での副業・兼業を促すため、プロフェッショナル人材戦略拠点の人員を倍増し、500人体制とするとともに、地方での副業・兼業等に要する移動費を3年間で最大150万円支援してまいります」。

制度の詳しい内容や手続き方法はまだ公表されていませんが、報道記事を参考にすれば、制度の概要は次の通りです。

対象者

・東京と神奈川、埼玉、千葉の1都3県から他の地域へ兼業・副業として通勤する人(ただし、該当する1都3県内での通勤でも、交通の利便性が低い過疎地などへの通勤者は対象)

助成金額

・交通費が往復で1万円を超える場合、その半分
・1人当たり年間50万円が上限(3年間で最大150万円)

助成を受けられる者

・対象となる副業・兼業者の副業先企業

働き方も大事

制度の内容については、まだ明確になっていない部分も多いですが、「副業先の企業」が助成対象になるとすると、企業の負担軽減、人材活用支援策として交通費の半分を政府と自治体で助成するというのが当制度の目的だと思われます。

そう考えると、副業スタイルによって補助対象になるかどうかが変わるかもしれません。 例えば「本業では会社員、副業では自営業やフリーランスとして働く」というスタイルをとった場合、一般的に企業が交通費を支給するケースは少ないでしょう。

一方、「2社以上と雇用契約を結び、どちらも従業員として働く」というスタイルをとった場合には、通勤交通費を支給する企業もありそうです。ただ、このケースであっても、遠方から通勤する従業員への支払いに重い負担を感じる企業も多いはず。

そもそも通勤交通手当の支払いは、企業の規定によって支給有無や計算基準が異なります。一般的には「最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤経路及び方法による運賃等の額」が支払われるため、どの程度この制度が適用されるのかは未知数です。

実際の運用時には、働く人と企業の双方が活躍機会と事業の拡大を望めるような制度であってほしいですね。

著者プロフィール: 續恵美子

女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター
ファイナンシャルプランナー(CFP)

生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢見て退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに--。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動している。エフピーウーマンでは、女性のための無料マネーセミナー「お金の(学び場)」を無料開講中!