近年、花粉症の子どもが増えているのをご存知ですか? 東京都の調査によれば、0~14歳のスギ花粉症・推定有病率は40.3%(平成28年度)。平成8年度の調査では8.7%だったことを考えると、20年で実に5倍となっています。

何歳から花粉症になる可能性があるのか、風邪との違いは? 発症してからの治療法も含めて、小児科医の竹中美恵子先生に聞きました。

  • 子どもでも花粉症になるの? 風邪との違いや治療法

1歳で発症するケースも

――子どもの花粉症、診察されている中でも増えている印象はありますか?

そうですね、増えている印象があります。また、花粉症と診断がつくのは、今まで早くて3~4歳だったのですが、最近では1歳というケースもありました。

――どんなお子さんが発症しやすいのでしょうか?

花粉症はアレルギー性鼻炎の一種です。アレルギー発症には遺伝的要素もあるので、ご両親共にアレルギー持ちであると、花粉症を発症しやすいとはいえるでしょう。

また、乾燥肌やアトピー持ちのお子さんも、花粉症を発症しやすいです

"透明でさらさらの鼻水"が長引いたら受診を

――花粉症の症状は、大人と子どもで違いがありますか?

ほぼ一緒なのですが、子どもの場合、一見、花粉症だと分かりにくいことが多いです。

大人であれば「目がかゆい」「鼻水とくしゃみが止まらない」「薬を飲んでも症状が良くならない」といったことで、花粉症だと気づきやすいかもしれません。

しかし子どもの場合、目がかゆいといった症状はないけれど、皮膚に蕁麻疹が出るケースや、鼻水だけなど、症状の出方にばらつきがあるのです。

――風邪との違いはどのように見分けたら良いですか?

小さい子だと、1週間おきにいろんな風邪をもらってくるケースもあるので、例えば鼻水や咳といった症状が風邪によるものなのか、花粉症によるものなのか、見分けるのは難しいと思います。

ただ、花粉症のシーズンに、さらさらで透明な鼻水、咳やくしゃみといった症状が1カ月以上続く場合には、花粉症を疑ってみましょう。

またこの時期、全身にかゆみが出て夜眠れないとか、目のかゆみを訴えているといったときにも、花粉症の疑いがありますので、受診されると良いでしょう。

――小児科では、どういった方法で花粉症と診断するのですか?

お子さんやご家族の症状などをお聞きして、花粉症の疑いがある場合に、さまざまな検査方法があります。

一般的なのは「血液検査」です。結果が出るまで1週間程度かかります。

また、皮膚に傷をつけてアレルゲンの入った薬剤をたらす、「スクラッチテスト」と呼ばれる検査方法もあります。

1~2歳の小さなお子さんであれば、指先に少しだけ針を刺して少し出てきた血液で検査をする「イムファストチェック」という方法が用いられることもあるでしょう。ただしこちらの方法では、数あるアレルゲンのうち、猫・ダニ・スギの3つしか検査できません。

耳鼻科の場合、鼻の粘膜の状態なども確認してくださると思います。まずはかかりつけの先生に相談してみてください。

抗アレルギー薬を処方、舌下免疫療法は12歳から

――花粉症と診断された場合、どのような治療が行われるのでしょうか?

一般的な鼻炎と違い、花粉症は毎年必ず症状が出てしまうので、思っている以上にしんどいお付き合いになると思います。

まずは対症療法として、抗アレルギー薬を処方します。小さい子であればあるほど、現時点では使える薬が少なくて難しいのですが、長期間、長い年月服用しても大丈夫なように、医師としては慎重に薬を選んでいます。

併せて、症状がひどい場合にはステロイドの吸入も行います。また、中耳炎にならないように、鼻水の吸引もこまめにできると良いですね。

――根本的な治療は難しいのでしょうか?

舌下免疫療法と呼ばれるアレルゲン免疫療法があります。

1日1回、アレルゲンの入った液を舌にたらして1分間保持し、飲み込むという方法で、だんだんとアレルゲンの濃度を上げていき、体をアレルゲンに慣れさせることで症状を和らげる手法です。

ただしこの治療は、12歳以上でないと受けられません。さらに、少しずつ症状が軽くなってはいきますが、治療を終えるまで3~4年ほどかかります。

また、7~8歳頃になると、鼻の粘膜を焼いてしまうレーザー治療を受けることもできます。副作用はありませんし、鼻づまりや鼻水の緩和に有効です。ただし、痛みを伴う治療なので、生活に支障が出るほどの重い症状がなければ、行わないことが多いです。

花粉症の子どもにできること

――家庭でできる花粉症対策があれば教えてください

花粉は鼻やのどの粘膜から入ってくることが多いので、外出時にはお子さんにマスクをつけてあげてください。

また、家の中に花粉を持ち込まないようにしましょう。家に入る前に、洋服を手ではたいておくだけでも大きな効果があります。そして、手洗いうがいをしっかりしましょう。

家の中では、花粉を除去してくれる空気清浄機をかけておくのもお勧めです。

抗酸化作用が強いビタミンCは粘膜をキレイにする働きがありますし、ビタミンDはアレルギー症状を改善する作用があることが分かっています。環境の改善に加えて、食事を通した対策もできると良いですね。

――ありがとうございました!

監修者:竹中美恵子(タケナカ・ミエコ)

小児科医、小児慢性特定疾患指定医、難病指定医。「女医によるファミリークリニック」院長。

アナウンサーになりたいと将来の夢を描いていた矢先に、小児科医であった最愛の祖父を亡くし、医師を志す。2009年、金沢医科大学医学部医学科を卒業。広島市立広島市民病院小児科などで勤務した後、自らの子育て経験を生かし、「女医によるファミリークリニック」(広島市南区)を開業。産後の女医のみの、タイムシェアワーキングで運営する先進的な取り組みで注目を集める。

日本小児科学会、日本周産期新生児医学会、日本小児神経学会、日本小児リウマチ学会所属。日本周産期新生児医学会認定 新生児蘇生法専門コース認定取得、メディア出演多数。2014年日本助産師学会中国四国支部で特別講演の座長を務める。150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加する「En女医会」に所属。ボランティア活動を通じて、女性として医師としての社会貢献を行っている。