ホンダは2月14日、コンパクトカー「フィット」の新型を発売した。4世代目となる新型でホンダがこだわったのは“心地よさ”。「心地よい視界」「座り心地」「乗り心地」「使い心地」を追求し、ライフスタイルに合わせて選べる5タイプを用意した。
グレードを設定せず5タイプを用意
「フィット」は2001年に発売となったコンパクトカー。新型は4世代目となる。新型フィットは2つのモーターを使うホンダのハイブリッドシステム「e:HEV」を同社のコンパクトカーとして初めて搭載する。
新型フィットには、価格の安い順に「ベーシック」(BASIC)、「ホーム」(HOME)、「ネス」(NESS)、「クロスター」(CROSSTAR)、「リュクス」(LUXE)という5つのタイプがあり、全てのタイプにガソリンエンジン車とハイブリッド車が用意してある。一般的に、クルマには「グレード」というものが設定されていて、装備は少ないが価格が安い「エントリーグレード」や装備が充実していて価格も高い「上級グレード」などの中から選ぶことになるのだが、フィットの場合、5つのタイプから自分の好みやライフスタイルに合ったものを選べる。
例えば「ネス」には、「ベーシック」の装備に加えて「16インチアルミホイール」「撥水ファブリックシート」「ソフトパッド」などが追加となる。ツートーンカラーを選べるのは「ホーム」「ネス」「クロスター」の3タイプのみ。「ネス」ではライムグリーンを使った「アクセントツートーン」というボディカラーも選択することができる。
新しい商品・技術を開発する上でホンダが重視しているのが「人の研究」。この研究では「数字では表せない人間の『感性価値』」を追求し、「心地よさ」というキーワードにたどり着いたのだという。
その「心地よさ」をコンセプトとする新型フィットの発売に合わせて、ホンダでは本社ビル(東京都港区)1階のパブリックスペース「Hondaウエルカムプラザ青山」において「ここちよさ展」を開催している。自分にとっての潜在的な心地よさとは何かを五感を使って探る体験型イベントで、会期は3月14日(10時~18時、入場料は無料)までだ。
同イベントには「視覚」「聴覚」「嗅覚」「触覚」の4つのブースが用意してある。例えば聴覚ブースには数種類の音といった感じで、各ブースにはいくつもの選択肢が用意されているのだが、その中から自分が心地よいと思うものを選択していくと、その結果から「どんな体験から心地よさを感じる気分か」「心地よい暮らしのヒント」「おすすめのフィット」を教えてくれる。
同イベント開催の狙いをホンダ広報の坂実沙子さんは、「フィットは『心地よさ』をコンセプトとしたクルマですが、そうはいっても、分かりづらい部分もあると思います。なぜ『心地よさ』にたどり着いたか、そのバックグラウンドを体験しながら知ってもらえば、フィットにも興味を持ってもらえるのではないかと考えました」とする。
人の感性価値も、何を心地よいと感じるかも人それぞれである以上、オーダーメイドではなく量販する商品であるクルマで「心地よさ」を追求し、最大公約数を割り出すのには、かなりの苦労があるはずだ。5タイプの新型フィットが多くの人に心地よいクルマであるとの感想を抱かせることができるかどうか、ホンダの人研究の成果が試される。