東京2020パラリンピック競技大会まで残り200日となった2月7日、日本パラリンピック委員会は「TEAM PARALYMPIC JAPAN」のチームマーク、およびスローガンを発表。特別ゲストには2日に、全豪オープンテニス車いすの部を制したばかりの国枝慎吾選手が招かれた。

  • 日本パラリンピック委員会が「TEAM PARALYMPIC JAPAN」(チームパラリンピックジャパン)のチームマーク、およびスローガンを発表

チームマーク、スローガンに込めた想い

チームマークの右上には、大きな日輪を配置。さまざまな暖色が織りなす円形が印象的なデザインとなっている。「多様性」を意味するこの日輪のグラデーション、日本パラリンピック委員会の髙橋秀文氏は「1人1人が自分の色を持ちながら、同時にチームでもある。そんなTEAM PARALYMPIC JAPANのあり方を象徴しました」と説明する。

スローガンは、力強さを感じさせる「超えろ、みんなで。」に決定。「競技・種目や障がいといったあらゆる違いや、昨日までの常識、のしかかる重圧、胸に秘めた目標、誰かが決めた限界、競技の壁、想像、そういったものを、選手だけでなく"みんなで"超えていこう」という想いが込められているという。

  • チームマーク(左)とスローガン(右)。チームマークには、様々な個性が輝く自由、それらが調和する美しさなどが表現されている

髙橋氏は「パラリンピックを契機とした社会的な関心の高まりが、2020年以降の継続的なパラスポーツ、パラリンピックムーブメントの継続につながり、共生社会の実現にも寄与すればと思う。日本パラリンピック委員会としては、日本代表への応援ムーブメントを最大化していく所存です」と意気込んだ。

  • 日本障がい者スポーツ協会 日本パラリンピック委員会の髙橋秀文 副委員長(左)と、河合純一 委員長(右)。河合氏は、東京2020大会のパラ選手団長に選ばれている

また、パラリンピックの元水泳選手でもある河合純一氏は、自身の現役時代を振り返り「オリンピックイヤーになると、もっと練習しておけばよかった、どうしたら結果を残せるか、そんな不安な気持ちになりがちです。いまは選手団を預かる立場、そうした現役アスリートの気持ちに寄り添いながらチームづくりしていきたい。可能性を信じてチャレンジする選手団をつくっていければ」と抱負を述べた。

予想を上回るプレーを見せたい

ゲストとして登壇した、アテネ大会・北京大会・ロンドン大会の金メダリストである車いすテニスの国枝慎吾選手。先の全豪オープンテニス 車いすの部で10度目の優勝を果たしたことについて「パラリンピックイヤーに、明るいニュースを届けられたのでは」と爽やかな笑顔で語った。

  • 車いすテニスの国枝慎吾選手

この日、発表されたばかりのチームマークについては「綺麗なグラフィックで嬉しいですね。こうしたシンボルを掲げて大会に臨むことで、選手はモチベーションが上がります」とコメント。大会に向けた意気込みを聞かれると「皆さんの予想を上回るプレーを見せたいですね」意気込みを述べ、「ライバル選手にも良い選手がたくさんいます。海外選手のファンになってもらうのも良いでしょう。もっとも、ボク自身のファンになってもらうことが一番うれしいですけれど」とはにかんだ。

目標とする金メダルの数は?

発表会で高橋氏からは、東京2020大会のメダル目標を発表。はじめに「2016年のリオパラリンピックにおいて、銀メダルは10個、銅メダルは14個でした。2012年のロンドン大会と比較してメダル総数は増えたけれど、金メダルは0個だったので、世界ランキングとしては64位だった。2020年に向けて委員会では、組織の内部に強化委員会を新設し、世界トップ7に入ることを目標にこれまで取り組みを進めてきました」と経緯を説明した。

その上で、東京2020大会では「世界でトップ7」を目指すとともに、金メダルの目標数を「20個」と定めたとし、「率直に言うと、高めいっぱいのボールでストライクを取りにいった、というところでしょうか。ややチャレンジングなボールになりましたが」と語る。またメダル総数に関しては「リオ大会の倍(48個)か、もしくは2004年アテネ大会の52個を超えることもできるのではないかと思う」と期待を込めた。

目標達成の可能性について河合氏は「時代や状況が刻々と変わるなかで、高めの目標設定だと認識しています。でも不可能な範囲ではありません。パラリンピックの精神にある、できないことにどうやって取り組んでいくか、その姿勢と精神が大切になる。パラアスリートの努力する様子を、1人でも多くの人に知ってもらえれば、選手も最高のパフォーマンスを発揮できると思います」と話していた。