三菱自動車工業は軽自動車の「ekスペース」と「ekクロススペース」を2020年3月19日に発売する。日本で今、最も勢いのある軽スーパーハイトワゴンというジャンルで、三菱自動車は何を武器に戦うのか。日本一の販売台数を誇るホンダ「N-BOX」など、ライバルは強力だ。

  • 三菱自動車の新型車「ekクロススペース」

    三菱自動車の新型車「ekクロススペース」

ライバル多数! 「ekスペース」の強みは?

ekスペースは同社の軽ハイトワゴン「ekワゴン/ekクロス」をベースとし、全高を高くして室内を広げ、後席を電動スライドドアとした軽スーパーハイトワゴンだ。ekスペースのフルモデルチェンジは6年ぶりで、新型は2世代目となる。「ekワゴン/ekクロス」は日産自動車が開発し、三菱自動車が生産しているクルマである。見た目は違うが、日産の軽自動車「デイズ」と基本的には同じだと考えていい。

三菱自動車はekクロスで男性客、ekスペースで女性客を取り込みたいようだ。ekクロスでは、子育てもひと段落し、1人で山登りやキャンプなどに出かけたいと考えるようになった男性客を想定。ekスペースのターゲットは子育て中の女性客である。

  • 三菱自動車の新型車「ekスペース」

    新型「ekスペース」(画像)の価格は139万9,200円~176万7,700円、「ekクロススペース」は165万5,500円~199万1,000円

先日お伝えしたとおり、ekスペースが挑戦するのは“日本で最もアツい市場”だ。軽スーパーハイトワゴンというジャンルは人気が高く、各メーカーがこぞって新車を投入している。2019年に日本で最も売れたクルマは、同ジャンルのホンダ「N-BOX」だった。ダイハツ工業「タント」やスズキ「スペーシア」など、ライバルは強者ぞろいだ。

そんな激戦区に新型車を投入するにあたり、三菱自動車は何を武器に戦うのか。「ekスペース/ekクロススペース」の事前説明会で強みを聞いてきたので、いくつか紹介したい。

  • 三菱自動車の新型車「ekスペース」

    新型「ekスペース/ekクロススペース」のボディサイズは2輪駆動車(2WD)で全長3,395mm、全幅1,475mm、全高1,780。4輪駆動車(4WD)は全高が20mm高くなる

まず、後席の電動スライドドアに注目してみたい。このドアには、手を使わずに開閉できる「ハンズフリー」機能が付いている。ドアの下部に足を入れて引き抜くと、ドアは自動で開閉する。大きな荷物を抱えていたり、傘をさしている時には便利そうだ。乗り降りや荷物の積み下ろしの利便性を考え、ドアの開口幅は約650mmと広くとったという。

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    スライドドアの開口幅は従来型よりも95mm広くなった

スライドドアを開けると、そこにはクラストップレベルの横幅の広さを誇るスペースが出現する。後席の前後スライド幅は320mmで、こちらもクラストップレベルの可動域であるとのこと。後席を最大限前方にスライドさせれば、荷室の奥行きがまたまたクラストップレベルとなるそうだ。逆に最大限後方にスライドさせると後席は大きく広がる。そのスペースでは子供を着替えさせたり、乳幼児のおむつを替えたりすることもできるとのことだった。後席には大小さまざまな収納とUSBポートも用意する。

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    後席スライド長は従来型に比べ60mm広くなった

「ヒルディセントコントロール」という機能を搭載しているところは、SUVを得意とする三菱自動車のクルマであることを感じさせる特徴だ。この機能は、急な下り坂や滑りやすい路面を下る際、電子制御により車速を低く抑えるもの。三菱自動車としては、ekスペース/ekクロススペースで険しい山道に挑戦してほしいとは考えていないそうだが、例えば大型ショッピングモールに出かけた際、高層階にクルマを止めざるを得なかった時には、帰りの下り坂で同機能のありがたさを感じられるかもしれない。

エンジンは660㏄3気筒DOHCエンジンで、全車がハイブリッドとなる。トランスミッションはCVT(無段変速機)だが、ターボエンジン搭載車のステアリングには手元で変速操作ができるパドルシフトが付いている。高速道路で前走車を追従したり、一定の速度で走行したりしてくれる高速道路同一車線運転支援技術「マイパイロット」もオプションで搭載可能だ。

  • ekスペースの安全装備

    安全性にもこだわったと三菱自動車。「前方衝突予測警報」など、いくつかの機能が新たに採用となった

これらの特徴を武器として、激戦の軽スーパーハイトワゴン市場に挑むekスペースとekクロススペース。月間販売目標は2,400台で、内訳としてはekクロススペース60%、ekスペース40%を想定している。

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