2019年は消費増税の話題で持ちきりでしたが、キャッシュレス決済のポイント還元や軽減税率の導入で、思ったほど痛税感を意識するところまではいかなかった人も多いのではないでしょうか。しかし2020年こそは、さまざまな局面で増税を実感することになりそう。まずは、何が、どのように変わるのかをきちんと知っておきましょう。

所得税の基礎控除が増え、給与所得控除が見直される

2020年からの最も大きな変更が、基礎控除、給与所得控除、公的年金控除の改正です。まずは基礎控除から見ていきましょう。

基礎控除とは所得税を課税される人すべてが、等しく適用される所得控除です。これまでは所得に関係なく38万円が控除されていました。それが、一律で48万円に引き上げられます。しかし一方で、所得金額の高い人まで控除を適用する必要性はないのではという指摘があったことから、高所得者については段階的に控除額を引き下げ、下図のように合計所得金額が2500万円超の人はゼロということになりました。

続いて給与所得控除です。給与所得控除とは、給与所得者が給与から一定額を差し引ける控除で、個人事業者の必要経費に相当するもの。これまでも控除額は給与収入によって異なり、収入が多いほど控除率は段階的に下げられていました。これが今回の改正で一律10万円引き下げられ、さらに収入が850万円以上の場合は下図のように上限195万円に抑えられます。

基礎控除は引き上げ、給与所得控除は引き下げが行われたことで、下図のように給与収入が850万円以下の人はこれまでと変わらず、850万円以上の人は控除額が減少=税金が増えることになります。

酒税法の改正が、いよいよ施行される!

法律の改正は広く国民に周知するという観点から、成立してから施行までに一定の期間が設けられます。酒税法の改正は2018年4月1日に行われましたが、10月からいよいよ改正が施行。今回の大きなポイントは2026年10月までの6年間にわたって段階的に税率が変化します。最も大きく変わるのは発泡性酒類(ビール類)の税率で、下図のようにビール、発泡酒、新ジャンルの税率が一本化されることになります。

本当のところは分かりませんが、酒税の税収が減少していることに比例してビール類の出荷額も減少。中でも税率が高いビールは20年以上にわたって減少の一途をたどっています。それに対して後発の新ジャンルがシェアを増やしていることから、税収増加のために酒税法の改正が行われたのではないかといわれています。

値上がりのタイミングを知っておけば少しでも買いだめができますから、時期だけでも記憶にとどめておいてはいかがでしょうか。

いよいよ消費税10%を体感するときがやってくる!

消費増税の景気への影響を軽減するために行われたキャシュレス・消費者還元事業が、いよいよ6月で終了します。当初は利用方法に戸惑う人も多かったようですが、コンビニでは決済額が2%OFFなので消費増税の影響はなし、中小の店舗なら5%OFFなので消費増税前よりもお得ということから、消費増税の意識を軽減することに大きく貢献しました。

しかし、この制度もいよいよ6月で終了。消費税10%時代がやってきます。昨年9月以上に、5~6月は計画的に買いだめをして少しでも大きく恩恵を受けておきたいもの。

また9月以降、今度はマイナンバーカードを持つ人を対象にポイント還元を行うことが検討されています。これを利用するにはマイナンバーカードの取得、マイキーIDの作成など、さまざまなハードルがありそう。しかし政府が行う制度はメリットが多いので、早めに情報を入手してお得を享受できるように準備しておくようにしましょう。

  • 鈴木弥生

鈴木弥生

編集プロダクションを経て、フリーランスの編集&ライターとして独立。女性誌の情報ページや百貨店情報誌の企画・構成・取材を中心に活動。マネー誌の編集に関わったことをきっかけに、現在はお金に関する雑誌、書籍、MOOKの編集・ライター業務に携わる。ファイナンシャルプランナー(AFP)。