日本人にとって、元日の朝に届く年賀状に目を通すのは、長きにわたって培われてきた風習といえるだろう。久しく会っていない友の健在を知り、新年の喜びがいっそう確かなものになるという経験は誰にあるはずだ。

しかし一方で、携帯電話やインターネットの発達で、人々のコミュニケーションのあり方は大きく変化している。ビジネスシーンにおける年賀状の存在はいま、どんなものとなっているのだろうか。

今回はマイナビニュース会員300名にアンケートを実施し、「職場や取引先に年賀状は出すかどうか」について聞いた。

  • お世話になった人へ、年賀状を出す予定はありますか

Q.仕事の取引相手やお世話になった人(他社)へ年賀状を出す予定はありますか

「はい」(44.7%)
「いいえ」(55.3%)

Q.何枚出す予定ですか

1位「10枚以下」(32.1%)
2位「11枚以上~20枚以下」(26.9%)
3位「21枚以上~30枚以下」(14.9%)
4位「51枚以上」(11.9%)
5位「41枚以上~50枚以下」(7.5%)
6位「31枚以上~40枚以下」(6.7%)

Q.仕事の取引相手やお世話になった人(他社)へ、年賀状を出す or 出さない理由を教えてください

■「出す」

・「お世話になった人に年賀状を出すのは当たり前なので」(32歳男性/その他電気・電子関連/事務・企画・経営関連)
・「毎年年賀状を頂くので、あらかじめ出しています」(45歳女性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「ビジネスライクな付き合いでなく、個人的な付き合いをしたいと思えるから」(42歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「通例として出していることもあるから、継続の意味で」(30歳男性/リース・レンタル/営業関連)
・「新しい年を迎えるにあたり、挨拶を兼ねて気持ちを贈るのが大事だと思う」(45歳男性/広告・出版・印刷/技能工・運輸・設備関連)
・「年賀状の文化が衰退してきたし、年賀状自体の値段も上がってきているので、もう出さなくてもいいと思っている。今まで毎年出してきたが、いつでもやめてもいいと思っている」(39歳男性/広告・出版・印刷/営業関連)
・「年配者を中心に年賀状の慣習が残っている以上、失礼があってはいけないと思う」(48歳男性/公益・特殊・独立行政法人/事務・企画・経営関連)
・「これまでのお礼と、この先の人間関係を円滑にするために最低限の礼儀だと思っている」(46歳男性/精密機器/メカトロ関連技術職)
・「毎年出しているので、止め時が無くて困っています。徐々に減らしていますが、特に年配の方への止めるタイミングは本当に困ります。悪しき習慣とは言いませんが、電子化やSNSでも済むものなので、年々無意味なものだという認識が増しています」(47歳男性/ホテル・旅館/事務・企画・経営関連)

■「出さない」

・「面倒だし、そういう付き合いはしていないから」(43歳男性/設計/事務・企画・経営関連)
・「会社として出しているため、個人では出さない」(44歳男性/シンクタンク・マーケティング・調査/専門職関連)
・「安月給だしブラック企業なので、そもそもそんなことをする時間も心の余裕もない」(38歳男性/サービス/その他・専業主婦等)
・「住所もわからないし、自分が仕事関係の人からもらった覚えもほぼないので」(44歳男性/クレジット・信販/IT関連技術職)
・「会社関係では、本社が一括管理のため。お世話になった人はいないので」(34歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「数年前から年賀状は一切やめた。面倒だし、お金もかかる」(44歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「そもそも誰にも年賀状を書いていないから」(26歳女性/システムインテグレータ/IT関連技術職)

Q.職場の人に年賀状を出す予定はありますか

「はい」(33.7%)
「いいえ」(66.3%)

Q.何枚出す予定ですか

1位「10枚以下」(55.4%)
2位「11枚以上~20枚以下」(25.7%)
3位「21枚以上~30枚以下」(7.9%)
3位「51枚以上」(7.9%)
5位「31枚以上~40枚以下」(2.0%)
6位「41枚以上~50枚以下」(1.0%)

Q.職場の人へ、年賀状を出す or 出さない理由を教えてください

■「出す」

・「礼儀として、大切な伝統だと思うから」(36歳男性/コンピューター機器/技能工・運輸・設備関連)
・「仕事をやる上で感謝と、今年も頑張りましょうという気持ちを、自戒を込めて贈っている」(45歳男性/広告・出版・印刷/技能工・運輸・設備関連)
・「毎年年賀状のやりとりがある人には出す。やりとりがない人には出していない」(39歳男性/広告・出版・印刷/営業関連)
・「慣例として出すことになっているので、仕方なく」(36歳男性/ガラス・化学・石油/事務・企画・経営関連)
・「やはり毎年出しているものなので、止め時がなくて困っています。自分が音頭を取って『お互い止めよう』と言えば枚数を減らして効率化を図れると思いますが、年長者から陰で反発を買いそうで怖くてできません。本当に困ります」(47歳男性/ホテル・旅館/事務・企画・経営関連)
・「上の世代がうるさくて、やめられない」(48歳男性/医療・福祉・介護サービス/公共サービス関連)
・「営業だからです」(34歳男性/輸送用機器/営業関連)

■「出さない」

・「プライベートでも良く会うし、お互い気を遣わずに済むので」(48歳男性/サービス/事務・企画・経営関連)
・「手間とお金がもったいない。もう年賀状の時代ではないと思う」(37歳男性/家電・AV機器/販売・サービス関連)
・「面倒だし、出し合わないようになっているから」(40歳女性/建設・土木/事務・企画・経営関連)
・「相手の負担にもなるので」(44歳男性/クレジット・信販/IT関連技術職)
・「会社としてしなくなった時期があるそうで、私が入ってからも、そういうのがない」(39歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「いらないと言われた」(27歳男性/半導体・電子・電気機器/技能工・運輸・設備関連)
・「毎日会っているし、社員同士がいがみ合っているので出す気にもならないし、そもそもそんな時間も心の余裕も金もない」(38歳男性/サービス/その他・専業主婦等)
・「LINEでOK」(44歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)

■総評

調査の結果、仕事の取引相手やお世話になった人(他社)へ年賀状を出す予定がある人は44.7%、予定のない人は55.3%と、出す予定のない人がやや優勢な結果となった。職場の人に年賀状を出す予定がある人は33.7%、予定のない人は66.3%と、こちらは出す予定のない人が約3分の2となり、仕事関係以上に年賀状離れが鮮明となっている。

何枚出す予定かを聞いたところ、仕事関係・職場関係ともに1位は「10枚以下」。以下、2位「11枚以上~20枚以下」、3位「21枚以上~30枚以下」、4位「51枚以上」までの順位も同一となった(職場関係は「21枚以上~30枚以下」と「51枚以上」が同率3位)。ただし、1位の「10枚以下」が占める割合は仕事関係が32.1%だったのに対して、職場関係では55.4%と半数以上となっている。

年賀状を出す理由及び出さない理由をそれぞれ聞いた。仕事関係・職場関係ともに、出す理由として「お世話になった人への感謝の気持ち「最低限の礼儀」「毎年の慣習なので」といったものが多かった。ただし仕事関係では、出している人の中でも「もうやめたい」「いつやめてもいいい」「やめ時が難しい」といった意見が散見され、気持ちの上では「年賀状は不要」と思っている人がかなり多いという現状がうかがえる。

一方、出さない理由としては、仕事関係では「会社が代表して出している」「申し合わせで廃止した」「そういう付き合いはしていない」などが挙げられた。職場関係では、「面倒」「お互いに気を遣わなくて済む」「普段、顔を合わせているので」「SNSで十分」などの声があった。

仕事関係と異なり、職場の場合はスタッフ間の意思の確認や合意が比較的簡単に行えるため、申し合わせで「年賀状を送り合うのをやめる」といったこともやりやすいだろう。相手のある仕事関係では一方的に送るのをやめるわけにもいかず、お互いが望まないままにずるずると続いてしまう、といった状況もあるのかもしれない。

年に一度、ハガキというかたちあるものでお互いの健在を喜び合うという習慣はとても情緒があり、趣深いものだ。しかし、一般的なコミュニケーションのツールがメールやSNSへと急速に移行している現状にあって、とくに仕事関係や職場では、もはや年賀状は求められてはいないのかもしれない。今回は、そんないささかアナログな年賀状が置かれた現状が垣間見える調査結果となった。

調査時期: 2019年12月6日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 300人
調査方法: インターネットログイン式アンケート

※写真と本文は関係ありません