佐々木五段の相掛かりを広瀬八段が受けて立つ

第45期棋王戦挑戦者決定トーナメント(主催:共同通信社)広瀬章人八段―佐々木大地五段が12月9日に東京・将棋会館で行われ、佐々木五段が97手で勝って、挑戦者決定二番勝負へ進みました。

棋王戦はベスト4から2敗失格システムを採用しており、本局は敗者復活戦の決勝戦です。佐々木五段は本戦の準決勝で広瀬八段に負けてしまいましたが、敗者復活戦で丸山忠久九段を破りました。一方の広瀬八段は佐々木五段を下した後、次戦で本田奎四段に負けて敗者復活戦決勝へ。つまり、本局は佐々木五段のリターンマッチでもあります。

振り駒で先手になった佐々木五段は▲2六歩~▲2五歩と突き、広瀬八段も△8四歩~△8五歩と突き返して相掛かりの戦いへ。佐々木五段の得意戦法を広瀬八段が受けて立ったというところでしょうか

相掛かりは持ち歩を生かした急戦から、玉を堅く囲う持久戦まで様々ありますが、両者は銀冠に組み合って持久戦の流れへ。銀冠を完成させた佐々木五段は、すぐに持ち駒の角を手放して飛・角・桂・香・歩の5枚で相手玉の上部突破を図ります。対する広瀬八段も角を打ち返して徹底抗戦。先手が押し切るか後手がしのぐかの終盤戦へ突入しました。途中、佐々木五段の歩の突き捨てが絶好の一手で、広瀬八段は対局終了後に「これで終わっている」とまで言ったそうです。ここからは佐々木五段の「堅い・攻めてる・切れない」の状態が続き、そのまま押し切って勝利しました。

佐々木五段は、本田四段と挑戦者決定二番勝負を戦います。

挑戦者決定二番勝負は、挑戦者決定トーナメントの優勝者(本田四段)と敗者復活戦優勝者(佐々木五段)で挑戦の条件が変わります。前者は1勝、後者は2連勝することで棋王(渡辺明棋王)への挑戦権を得ます。どちらが勝ってもタイトル初挑戦。さらに佐々木五段にはフリークラス経験者として初の挑戦と※六段昇段、本田四段には棋王戦初参加にして挑戦と※五段昇段が懸かっており、両者の熱い想いがぶつかる戦いとなるでしょう。

注目の二番勝負第1局は12月16日に行われます。

※日本将棋連盟 棋士昇段規定(五段・六段)
六段
・竜王戦2組昇級
・五段昇段後竜王ランキング戦連続2回昇級または通算3回優勝
・順位戦B級2組昇級
●五段昇段後タイトル挑戦
・五段昇段後全棋士参加棋戦優勝
・五段昇段後公式戦120勝
五段
・竜王ランキング戦連続2回昇級または通算3回優勝
・順位戦C級1組昇級
●タイトル挑戦
・全棋士参加棋戦優勝
・公式戦100勝

佐々木大地五段(左)、本田奎四段