ホンダがライダー向けとしては日本初のドローン撮影会「Honda BIRDrone Touring」を開催した。事前に公開された告知動画では本格的な映像が確認できたが、なぜホンダは、このような取り組みに乗り出したのか。気になったので、バイクの聖地・熊本で体験してきた。
日本初の試みに、36時間かけて自走で駆けつけたツワモノも登場!
ライダー向けドローン撮影会を企画したホンダによれば、バイク愛好家から「自慢の愛車で走っているところを撮ってほしい」という声がよく聞かれるという。いわれてみれば、確かに走行中に動画を撮影するのは困難だし、それが自身の姿となればなおさらだ。こうした現状に、多くのライダーたちがジレンマを抱えていることは間違いない。そこで、二輪のリーディングカンパニーであるホンダが一肌脱ぎ、「Honda BIRDrone Touring」を開催するはこびとなったわけだ。
国内の二輪免許を持ち、自己所有のバイクで参加できることを条件に、ホンダはTwitterでイベントの参加者を募集。信じられないことに、所有するバイクはホンダ車以外でも可という懐の深さを見せた。さらに、撮影会への参加費は無料で、自宅から熊本までのガソリン代と高速代もホンダ負担というから、かなり思い切った企画だ。
開催地に選ばれたのは熊本・阿蘇。やまなみハイウェイや阿蘇パノラマライン、ミルクロードなど、複数の絶景ツーリングスポットを有する熊本県は、“バイクの聖地”とも呼ばれるライダー憧れの場所だ。ホンダも生産拠点を構える同県は、イベントの開催場所としてこれ以上ない条件を備えていた。
想像以上の出来映え! ドローン映像を公開
「Honda BIRDrone Touring」は早朝からの開催ということもあって、前日には現地入りし、当日は午前6時20分ごろ、集合場所である阿蘇・大観峰展望所前の駐車場に到着して日の出を待った。
撮影で走行するのは、ミルクロードの約1.8キロ。天候の悪化によって中止になる可能性もあったが、このぶんであれば、その心配はなさそうだ。
あたりも明るくなってきたところで、いよいよ「Honda BIRDrone Touring」が始まる。そして、時計の針が7時を回ったころ、自分の順番が回ってきた。
まずはオープニングの撮影が始まったが、何度も撮り直しをするなど、かなり本格的な印象。バイクの取り回しに四苦八苦しながらも、なんとか撮影を終えた。
オープニングを無事に撮り終え、スタート地点に移動。器具も装着して、いよいよドローン撮影に挑む。
ここで実際に製作してもらった動画をご覧いただきたい。
自分でも確認してみたが、少々気恥ずかしい思いの半面、「ここまでやるか」と驚いた。まさに、ライダーが求めているのはこうした映像であり、理想的な仕上がりといえるのではないだろうか。
気になる次回開催は? ホンダ広報を直撃
事故なく無事に「Honda BIRDrone Touring」を終えた直後、ホンダの広報担当者に話を聞いた。
「喜んでいただけるとは思っていましたが、ここまでとは正直、思っていませんでした。今は本当に、開催してよかったと思っています。(参加者たちの)この姿や笑顔を見てもらえれば、バイクに乗っていない人でも、乗ってみたくなるんじゃないでしょうか」
今回はトライアルとしての開催であり、今後は評判などを見ながら、次回以降をどうするのか検討していくとのこと。参加してみた感想としては、ライダーたちは皆、思い思いに楽しく撮影に挑んでいたようであり、満足度も高そうだったので、イベントのレギュラー化を願いたいところだ。
確証を得ることはできなかったが、広報担当者の満足げな表情や話ぶりは、次回開催への期待を感じるには十分だった。バイクに乗るには少し辛いシーズンに突入したが、自慢の愛機を磨きあげてその時を待ってほしい。