NTT東日本は10月25日、ICT技術を活用した「地域の文化芸術伝承を通じた地方創生の取り組み」について発表を行った。
近年、災害や経年劣化による文化財消失等のリスクや、文化伝承の担い手不足により「地域の有形無形文化芸術をデジタル化して守りたい」「文化芸術を通じて、地域の新たな魅力を伝えることで地域活性化につなげたい」という声が高まっている。
そうした声に応えるべく、NTT東日本は、より社会的なニーズや要請を捉え、デジタル化した文化芸術データの集積、先進技術を用いた集積データの配信等により、日本の文化芸術継承を通じた地方創生の取り組みを開始する。
すでに農業、窯業、醸造、養殖業、地域祭事などの分野でICTを活用し、地域文化伝承の取り組みを行ってきたNTT東日本では、今年7月、グループ初の「農業×ICT」専業会社「NTTアグリテクノロジー」を設立し、データに基づく栽培の技術伝承を行っている。
発表を行ったNTT東日本営業戦略推進室の酒井大雅部長は、「地域の文化の担い手の不足という声をいただく。地域の文化や芸術は非常に広汎でデータをためるだけではなく、どう活かすかを考えていくことが必要」と訴える。
NTT東日本の通信ビルや高速ネットワークの「閉域網でセキュアな環境」「低遅延」「耐災害性」という特性を活かした「文化財の権利保護」「滑らかなコンテンツ配信」「ディザスタリカバリ」などのニーズに対応する。また協業パートナーとの連携を進め、デジタルアーカイブを活用した地域の文化芸術伝承や地方創生を検討している自治体や教育機関、美術館など個別に提案を行うとしている。
高精細な画像処理技術やAR/VR、3D、プロジェクションマッピング等のテクノロジーの進展とともに、デジタルアーカイブの活用の幅が拡大していることで、「文化芸術を通じて地域の新たな魅力を伝え、地域活性につなげたい」という期待の声も上がっている。
この取り組みのコンセプトを伝える場として11月1日から、体験型美術展「Digital×北斎【序章】」を開催する。
山梨県立博物館所蔵の葛飾北斎「富嶽三十六景」を、アルクステクネ・イノベーション社との協力により、独自の画像処理技術と20億画素のデジタルデータで原作の和紙の一本一本の繊維まで再現した「リマスターアート」を展示。4Kデジタル配信絵画や裸眼VR、リアルな絵画が動く「ムービングアートピクチャー」なども公開される。
「Digital×北斎【序章】」は、東京都新宿区のNTTインターコミュニケーション・センターで2020年3月1日まで開催される。入場料は無料。開館時間は午前11時から午後6時までで、月曜日が休館日となっている。