――先ほど、宮は感情の変化が激しいとおっしゃっていましたが、特殊能力を使うロボットのようにされてしまい、宮からすべての"感情"が消え去ってしまう場面もありましたね。あのとき宮はどのように演じられたのでしょう。
気をつけたのは"視線"ですね。目の前のものが見えているようで見えていない。対象物の"奥"を見抜くような演技を心がけました。まばたきもしないほうがいいなと思って、ずっと目を開いていました。演じていて、とても難しいシーンでした。
――宮の父親・呂連(ろれん)を演じられた升毅さんと共演され、どんなことを思われましたか。
升さんはすごくダンディで、声のトーンも深みがあるといいますか、とても聞いていて安心する声なんです。あまりお話をする機会はなかったですが、終始カッコよかったです。印象に残っているのは、呂連が口から血を吐くシーンを撮っているときのこと。撮り直しが許されない緊張の瞬間で、升さんは見事に一回で決められたんです。それを見て、さすがだなって思いました。
――また矢島さんは、律花の祖父である"狐一族"の当主・石動兵衛(いするぎ・ひょうえ)を演じられた倉田保昭さんともお芝居で絡まれていましたね。伝説のアクションスター・倉田さんの印象はどうでしたか。
やっぱりものすごい"圧"を感じました。倉田さんが現場に来られた瞬間、パッと空気が変わる感覚です。坂本監督をはじめ、スタッフ・キャストみなさんの背筋も自然に伸びるような。演じられている姿にも貫禄があって、モニターチェックをみんなで観ていて思わず「おおーっ!」とどよめきがありました(笑)。本当にカッコよかったです。
――クライマックスでの律花と戸田重次(とだ・しげつぐ)との対決シーンでは、宮もその場に居合わせていることもあって、迫力のアクションを間近で目撃することになったようですね。
すごかったですよ! カカトの力の入れ方が違う、などで何度も何度も撮り直しを重ねて、妥協なきアクションを作りあげていました。何度もやり直しって言われれば言われるほど、どうやったらいいかわからなくなるものなんです。私もそういう経験がありました。でも、あのお２人は精神的にも強くて、坂本監督の「もう一度!」の声に負けず何度も繰り返していました。そんな姿を近くで観ていて、感動しました。
――他の共演者で、矢島さんが印象に残っている方はいらっしゃいますか。
根来衆のウトを演じていた宮原華音さんですね。最初、衣裳合わせのときにお会いして「キレイな方だなあ」と思いました。ぜんぜん緊張なんてしてない感じの方なんですけど、実は緊張が顔に出ないタイプだったとか(笑)。根来衆のメイクをして現場で対面したとたん、すごい迫力で私に襲いかかってくるんです。目力もすごくて、怖いくらいの迫力がありましたね。アクションシーンでは、体がフレームからはみでちゃったとかで何度も撮り直しになることがあるのですが、それでも一生懸命やっていらっしゃいました。自分に負けないように頑張っている姿を何度も観て、胸を打たれました。
――撮影の合間に何か楽しいことがあったりしましたか?
撮影期間はすべて楽しい!の連続でしたね。あと、１日休みになったときがあり、せっかくだからと京都めぐりの１人旅を実行したんです。ぜんぶ自分で計画して、ここの次はここを回ろうとか(笑)。修学旅行以来の京都でしたし、１人というのも新鮮で、楽しかったです。
――京都観光をされて、いちばん心に残った場所はどこですか。
千本鳥居で有名な伏見稲荷ですね。すごくキレイな場所で、感動しました。後で千尋ちゃんと話したとき、彼女も別な日に伏見稲荷へ行っていたらしく、２人してその話で盛り上がっていました。
――今後また、坂本監督によるアクション映画に出演してみたいですか?
出てみたいです! もしもできることならば『BLACKFOX:Age of the Ninja』の続編が作られて、その中で宮として敵と戦ってみたいです。私はいまアクションの練習をしているのですが、今回の現場でキャストのみなさんが監督からパッとその場で指示されたものに即座に応えて動く、というところを観ていると、とても勉強になりますし「私もやってみたい!」とウズウズしてきます(笑)。「続編やれたらいいね」とみんなで話していますし、そのチャンスがやってきたらぜひ宮として、律花を助けて戦いたいです!
――最後に、『BLACKFOX: Age of the Ninja』の矢島さん視点でのおすすめポイントを教えてください。
それまで律花の敵として対立していた根来衆が"律花のために"命をかけるくだりがあるのですが、あのシーンで心を強く動かされました。いままで激しく戦っていたのに、律花のまっすぐな思いが人の心を変えた、という部分にはぜひ注目してほしいです。また、心を奪われ、兵器として利用された宮を律花がどのように救い出すのか、という部分も熱いシーンとなっています。すでに配信をご覧になった私のファンの方たちから「坂本監督に感謝!」みたいなコメントをいただいています。私としても、坂本監督の作品にこれからも出演できればいいなと思っていますので、応援よろしくお願いします!
(C)PROJECT BLACKFOX Age of the Ninja
