ミュゼプラチナムはこのほど、乳がん、子宮頸がんについて学べる「woman’s health academy」を開催した。これは10月のピンクリボン月間、11月の子宮頸がん啓発強化月間に合わせた催し。会場となった渋谷ヒカリエには、多くの一般女性が観覧に訪れ、ゲストにはお笑い芸人おかずクラブのオカリナさん、ゆいPさんが登場した。
乳がん、子宮頸がんを知ることが大事
冒頭、登壇した藤沢女性のクリニックもんま院長・門間美佳さんは「何とかして、若い女性の子宮頸がんを予防できないだろうか、という想いで活動を続けています。いま20代、30代の女性のがん検診率は20%くらい。とても低いんです」と警鐘を鳴らす。
また、一般社団法人KSHSキチンと手術・ホンネで再建の会の代表理事・溝口綾子さんは「乳がんになっても前向きに生きる、何も諦めない、女性としてもっと輝いて生きていこう、という活動を続けています。私も12年前に乳がんになった。知らないことには、何も道が開けなかった。皆さんにも正しい知識をつけてもらえたら」と訴えかける。
看護師として4年ほど働いた経験があるというオカリナさんは「注射するのが苦手で、同じ患者さんに1日に7回も注射したことがあります。だから当時、おたんこナースと呼ばれていました」と話し会場の笑いを誘い、このイベントについては、「男性にも乳がん、子宮頸がんについて考えてもらうきっかけになったら」とコメントした。
ゆいPさんは「分かっているようで、実は分かっていないのが乳がん、子宮頸がん。自分で調べない限り、知れないこともある。こういう機会をいただけたので、今日はしっかり勉強して帰ります」と意気込んだ。
乳がんと女性ホルモンの関係
データによれば、日本人女性の11人に1人が乳がんになっている。しかし直近では、その罹患率は(9人に1人ほどまで)高まっているのではないか、と溝口さんは話す。その理由について、ゆいPさんは「やっぱり食生活でしょうか。私は、身体に悪いかな、と思いながら食べてしまうことがあります」、オカリナさんは「欧米化と関係ありますか」と反応した。門間さんは「それも関係があると思います。あとは、たばこを吸うと乳がんの発生率が2.5倍に、お酒を飲みすぎると1.27倍になると言われています」とコメントした。
また溝口さんは肥満も乳がんのリスクを高めるとし、BMIが29を超えたあたりから危険度が増すと指摘。それについて門間さんは、脂肪から微量のエストロゲン(卵胞ホルモン)が出るためであると説明した。「乳がんになるピークは40~60代。だから閉経後も肥満の人は、卵巣からは女性ホルモンは出なくなるけれど、脂肪からエストロゲンが出るために乳がんになるリスクが上がります。ただ、閉経前なら多少の肥満は大丈夫、とおっしゃる先生もいます」(溝口さん)。すかさずオカリナさんは「多少の肥満にゆいPを含めるのか、悩ましい問題ですね」とつっこんだ。
溝口さんは「国が定める乳がんの検診は、40歳以上が対象。内容はマンモグラフィーで、2年に1回という割合です。これは死亡率を下げるために有効だと言われています。ただ『高濃度乳房』の体質の方は、マンモグラフィーでは石灰化しているかどうか、分かりづらい。そのため、超音波のエコー検査があります。ただ、若いうちからエコー検査することは別の問題があり、難しいところなんです」とし、「まずはセルフチェックをしてください」と語る。
セルフチェックの方法としては、お風呂に入る際に、手に石鹸をつけて、胸はもちろん、鎖骨の下、脇の下のあたりなど、一帯を少し強めに毎日触ること。ただ生理前は胸も張っているので、生理が終わって1週間くらいの間が良いという。「いつも触っていれば、違いがあったときに気が付くようになります。しこりの場合は、肉まんに梅干しの種を入れたような感触がある。それに触れるようであれば病院に行ってください」と溝口さんは語る。また、セルフチェックで分かるときは、しこりの大きさは1cmを超えており、すでに10年が経っているが、それでも手遅れではないと話した。
他にも乳がんはしこりだけでなく、様々な症状が現れるとのこと。例えば手を挙げる(バンザイする)と引きつる感覚。また、乳首からの出血や浸出液が出たり、寝ているときに潰れて滲み出ることもあるそう。溝口さんは「毎日触ることで、手のひらを信じられるようになります」と説明していた。
子宮頸がん検査は20歳から
門間さんは「乳がんは40歳から、子宮頸がん検査は20歳から」と説明する。「子宮頸がん検査は、若い人にも受診してほしいんです。通常なら6,000円くらいかかりますが、市や区の発行するクーポンがあれば1時間の検査を2,000円ほどで受けられます」(門間さん)。怖いのは、子宮頸がんは自覚症状がないという事実。月経不順も関係なく、まったく正常な人から見つかってしまうという。
オカリナさんは「自分は大丈夫なんじゃないか、とつい思っちゃうんですよね。根拠はないのに、何ででしょう」と話し、定期検診の重要さを痛感した様子。ゆいPさんは「私の母は、私の生まれた日を検診の日にしています。大事な日とセットにすれば忘れないから。娘さんが成人したら、一緒に検診に行くのも良いですね」とコメントした。
マンモグラフィーとエコー、どっちに行く?
イベントでは一般女性から寄せられた事前アンケートの質問に、ゲストらが回答。乳がん検診のマンモグラフィーは必要か、という質問にオカリナさんは「マンモグラフィーって思ったより痛いんですよね。こんなペチャンコにするのか、と思うくらい胸が潰される」。これに、溝口さんは「ペチャンコにするほど精密に撮れるんです。また、放射線の治療なので被曝量も少なくて済む。ただ生理前に胸が張ると触るだけで痛いので、生理後に行くと良いです。検査結果には関係ありません」と説明する。
門間さんは「国から予算が出ているのがマンモグラフィーです。多くの人に受けて欲しい。一方でエコーの方が精密さでは軍配が上がる。がんには、マンモグラフィーで見つかるもの、エコーで見つかるもの、別々なので交互に受けるのが一番良い。国から補助が出ている年はマンモグラフィーに、出ていない年はエコーに行くのはどうでしょうか」とアドバイス。最低限、マンモグラフィーは受ける、できれば両方とも受診するのが望ましい、と繰り返していた。