ロータスファンによる、ロータスのための祝祭の日。富士スピードウェイにて、今年も「JAPAN LOTUS DAY 2019」(ジャパン ロータス デイ 2019)が開催の運びとなった。名車といわれるあまたのスポーツカーとレーシングカーが集まった熱狂の1日を取材したので、その模様を報告する。
数々の名車に彩られたロータスの歴史
英国の軽量スポーツカー&レーシングカーメーカー、ロータス。創業者のコーリン・チャップマンが開発した往年の「エラン」や「エスプリ」、また1970年代の漫画『サーキットの狼』の主人公、風吹裕矢が駆る「ロータス ヨーロッパ」など、軽量スポーツカーの人気モデルは数多い。
また、レース界においても、フォードコスワース製DFVエンジンを初搭載した葉巻型のF1フォーミュラカー「ロータス49」、ゴルドリーフカラーの「ロータス72」、ブラックにゴールドのJPSカラーをまとったグランドエフェクトカー「ロータス78」、アイルトン・セナがドライブしたターボモデル「ロータス98T」、ホンダエンジンを搭載して中嶋悟がステアリングを握った「ロータス99T」など、数えだしたらきりがないほどの名車を生み出している。
そうしたロータス好きのオーナーやファンたちが年に1度、富士スピードウェイに集結するイベントが「ジャパン ロータス デイ」だ。今年は9月8日に開催された。主催はロータスの正規輸入代理店であるエルシーアイ。初開催は2009年9月で、700台近いロータス車が富士スピードウェイに集まった。2012年にはヒストリックF1スペシャルランとして、前出のF1マシンたちが富士を爆走。昨年はロータスの創業70周年を祝った。同イベントは今年で9回目となる。
ヒストリックカーが勢ぞろい!
今回の目玉は、本コース脇のピットビルで行われたロータスのフルEVハイパーカー「Evija」(エヴァイヤ)の日本初公開だ。2,000馬力(!)を発生するモーターを搭載しており、停止状態から時速100キロまでの加速は3秒以下、最高時速320キロという性能を誇る。型式の「タイプ130」にちなみ、130台の限定生産となるエヴァイヤだが、そのお値段はなんと200万ポンド(約2億6,000万円)。来場者の中には、ひょっとすると、このクルマを予約する猛者がいたのかもしれない。
エヴァイヤ発表の後、本コースでは「ロータスカップ・ジャパン」「ロータス111カップ」「エリーゼ・スーパーテック」の3レースを開催。レーサーやジャーナリストがドライブするロータス車に同乗して本コースを体験できる「サーキット・エクスペリエンス」と「サーキットタクシー」、クラシック・ロータスがコースを全開で走る「ヒストリックミュージアム・デモラン」などのイベントも行われた。
広いパドックに勢ぞろいした500台ものロータス車の姿は圧巻で、オーナー同士が自慢の愛車を前に情報交換したり、相談し合ったりする姿は、とてもほのぼのとした光景だった。また、ピット内には、葉巻型フォーミュラカーの1964年製「ロータス31」、1965年製「ロータス35」、1966年製「ロータス41C」、1969年製「ロータス59B」のほか、ライトウェイトスポーツカーの代名詞となったロータス エランやロータス ヨーロッパなど、クラシカルな名車がズラリと並んだ。
ヒストリックデモランに参加するため、1967年製「ロータス47F」のマフラーを直管式に交換作業中だった岩間秀征さん(68)に話を聞いてみると、ロータスファンならではのロータス愛がひしひしと伝わってきた。
「このクルマは『47GT』と呼ばれるタイプで、日本に2台しか入らなかった貴重なモデルです。エンジンは1.7リッターOHV(オーバー・ヘッド・バルブ)を搭載していて、車体重量は600キロととても軽く作られています。今日はマフラーを変えることで、盛大にアフターファイヤーを出して楽しもうと思っているんです。ロータスデーは素晴らしいイベントで、第1回から欠かさず参加しています」
確かに、デモランが始まると、岩間さんの47Fは「クォーン」という快音を発し、ストレートを気持ちよさそうに駆け抜けていた。
最終イベントとして毎回の恒例になっている本コースのパレードランは、折からの台風接近で残念ながら中止に。また来年の再開を願いながら、参加者らはサーキットを後にしていた。