部屋の片づけが済ませられない……ということは多くの方が経験するところだと思われるが、その過程を図解したフロー図「なぜか部屋の片づけが途中で終わる」がTwitterで発表され、話題を呼んでいる。作者は、うつや発達障害を抱える方に向けたキャリア形成の支援をしている林田絵美さん。リプライには、多くの共感の声や、こうすれば良いのではというアドバイスなどが様々、寄せられている。

  • 林田絵美さんによるフロー図「なぜか部屋の片づけが途中で終わる」

フロー図によれば、部屋の片づけが「終了」に至るまでの最後のステップは「パニック・思考停止」と「日が暮れる」の2パターン。「パニック・思考停止」に至るのは、何から片づけるべきか逡巡している内に当惑してしまうことと、どこに何があるか分からず全てのものを出してしまうことで部屋が散らかってしまい、思考放棄に近いような形で断念してしまうことだ。

「日が暮れる」パターンは、さらに多岐にわたる。まず挙げられるのは何かへの没頭。ほんの一部分のものにこだわって何度も試行錯誤する、何か片づけとは別の考え事をするという2例が挙げられている。ここで挙げられるのは、片づけ以外のことに没頭してしまう問題もあるが、片づけそのものに熱中しても、それが一部分で部屋の全体に及んでいないと、それもまた問題になるということである。

片づけ以外の別の考え事をしてしまうことは、何かアイデアをひらめいたり、重要な記憶を思い出したりした場合、片づけそのものの投げ出しも招く。本来、片づけに向けるはずだった注意が、それらの考えの方に向いてしまうのだ。さらに、片づけそのものを忘れてしまうという過程もある。これは、片づけ中に何か失くしていたものや懐かしいものを発見してしまうこと。その発見の感動に浸っている内に、当初の目的である片づけは忘却されてしまうことになる。

また、「日が暮れる」と表現されているが、文字通り日が落ちることそれ自体が問題ではないだろう。仮にこれが、夕方や夜、日が暮れてから片づけを始めたとしても、片づけ以外のことに(あるいは片づけの一部分にだけ)過度に集中してしまったり、気がそれてしまう物事が起こったりすることで、無為に長い時間が過ぎてしまうことが問題だとも言える。

リプライで、まず集まったのはやはり「まさにこれ」「ほんと分かりすぎる……」「図星すぎて震える」「私の思考回路を分かりやすく説明してくださいました」「全部納得です」「全部あるある」という共感の声。他にも「私の場合はシンプルに『部屋が散らかりすぎて途中で疲れちゃう』です」をはじめ、「私、片付けてるの?→部屋散乱→散らかしてるの?→パニック→元に戻して終了」「分類できないものを部屋の隅に固めて掃除機かけて大きめの家具戻して疲れて満足→未分類の分類がめんどくさくて放置→それがいつの間にか散らばってる→以下無限ループ」などの意見も見られた。

さらには「部屋汚い→眠いし目を瞑れば一緒→寝る。このパターン!」というコメントも。これには作者の林田さんも「私も終了=寝るが多いです」と返している。また、「この図が、そもそも片付けの最中に作った図のはず!」というツッコミのリプライには「なぜわかった」とも。なおこれについては、「私はこの図がひらめいたとき、この図の下から3番目でした」とツイートで明かしている。

フロー図で示された過程は、私にも非常に身に覚えがある。片づけを前に、その膨大な量、散逸した様々な物たち……それらに圧倒され、不安感や切迫感に駆られてしまい、全てを投げ出して寝込んでしまったり、何か他のことをひらめいてそれを実行して集中してしまったり、本を手にとって読みふけったりすることも多い。どころか、日常茶飯事であるとも言える。

では、どうすれば良いのだろうか。これについては、アドバイスのコメントも。「先にしまうところに『文房具』とか『保証書』とかラベル貼ってから片付け始めるとよいよ」「物にそれぞれ住所(置き場所)を割り振ってあげましょう。これでどこに何にがしまってあるかは大体把握出来るのでパニックにはなりません。また、住所のない物をしまう為のなんでも置き場をひとつ作ってあげると良いでしょう。あとは、床に物を置かないと癖づけるとよきです」という意見だ。さらには、「私の場合は『片付けなくてもどうにか生きてきたことを思い出す』です」と発想の転換を提案する声も見られた。

このフロー図の作者・林田絵美さんは、精神疾患や発達障害を抱える方のキャリア形成をサポートする就労移行支援事業所「キズキビジネスカレッジ」(東京・新宿区)を立ち上げ、運営。自身も発達障害の一つとされるADHDの当事者で、このフロー図も自身の「片づけが続かない」という問題に向き合った結果できたものだ、と話す。キズキビジネスカレッジは、2019年4月に開校。現在、利用者を募集している。