声優・アーティストの立花理香が5月15日に2ndシングル「Returner Butterfly」をリリースする。
今回は、TVアニメ『ノブナガ先生の幼な妻』エンディングテーマにも起用されている本楽曲、そしてカップリングの「Pelican」についてじっくりと話を聞いた。
■満場一致のイメージカラー
――2ndシングル「Returner Butterfly」は、ポップな前シングル「カラフルパサージュ」から一転、クールな楽曲になりましたね。
格好いいですよね。第一印象から「すき~~~!」ってなりました。『ノブナガ先生の幼な妻』のエンディングテーマなので、アニメーションの映像とあわせてはやく聞きたかったですね。デモの段階でそう思うくらいテンションが上がる曲でした。Aメロ終わりの"それなら"とか"それでも"とか、アタック強めのリズムがあったり、かと思えば言葉数が多いところが続いたりという緩急があって、弄ばれるような楽曲です。
――レコーディングではいかがでした?
サビの高音のところとか、地声でいこうかなと思ったんですけど、強くなりすぎるので、「ファルセットにしたほうがクールじゃない?」とか、スタッフの方々と相談しながらすすめましたね。
――歌いやすさ的には。
気持ち的には歌いやすいんですよ。でも、やっぱり難しいなって思うところも多いですね。蝶々っぽくひらひらとしたニュアンスや、軽やかさを入れたいなと思いながら歌いました。それは「カラフルパサージュ」よりうまくいった気がしますね。今回は原作がある作品なので、事前に読ませていただけたので。その分、スタッフさんたちとイメージを共有しながら制作できたので、スムーズでした。
――事前に抱いていたイメージは合致していました?
近しかったと思います。今回はジャケットの色が赤がメインになっています。曲のイメージカラーが赤というのも満場一致でしたね。
――ジャケット写真も蝶をモチーフとしていますね。
初回盤ジャケットのガラスのディスプレイケースをよく見ると、蝶々の標本があるんですよ。
――ほんとだ。少しだけ見えますね。
今回のために作っていただいたんです。ジャケット裏にもいっぱい蝶々が飛んでいるんです。いろんなところに散りばめていただきました。
――MVはいかがでしたか。過去のドラマ風とは違って、歌唱シーンがメインでしたね。
そうなんですよ! ストーリーがあるわけでも、ダンスシーンがあるわけでもなく、ただまっすぐ歌うという。
――今回は衣装は2パターン撮影しているんでしょうか。
はい。実は同じ赤の衣装だけど若干違っていて。女性なら気付くかなと思うんですけど、男性で気付く方は女子力が高いと思います! 歌詞に"夢も現も"とあるように、幻想や現実を行ったり来たりしているような、ふたつの世界が混ざりあうような、そういったイメージですね。完成したときに観てこれまでで一番恥ずかしかったです。
――できあがったのを観て。
「うわー!」ってなりました。自分の映像を観るのは恥ずかしいものがありますね。でも、後半になるにつれて、ライトの明るい光が差し込んでいて、飛んでいく感じがして格好良かくしていただけたなと思います。
■「Pelican」で気持ちを運ぶ
――カップリングはミドルテンポな楽曲の「Pelican」。
「今日はがんばったな」ってときに聴いていただきたい楽曲です。あたたかい気持ちになってほしいですね。ちなみに、蝶と同様にこちらも飛びますね。前回の「カラフルパサージュ」とカップリングの「緑の時計」は「カラー」シリーズだったんですけど、今回は「飛ぶ」シリーズです。
――今回も立花さんの作詞ですけど、もう自然と作詞をする流れになっているんですか?
「しましょっか」って(笑)。「Returner Butterfly」を制作しているときには影も形もなかったんですよ。今回はほんとうに書き始めるのが遅くて、スタッフさんを焦らせすぎてしまいました。「無理ならはやめに言ってくださいね?」という連絡をちょこちょこいただいて、結局歌詞が完成したのはレコーディングの日という……。(スタッフの方を向き)その節は本当に申し訳ございませんでした!
――「Pelican」のタイトルはどこから出てきたんでしょう。
アーティスト活動を始めてから1年、声優のお仕事を始めてから5年という節目だったんですよ。まだ早いとは思うんですけど、振り返ってみて、「ここらでありがとうソングを書こう」と。先に曲の方をいただいて、それがミディアムバラードだったので、あったかい歌詞を書けたらいいなあと思っていたんです。
――思って、いた?
そうですねえ。ただちょうどこのころの私は、あったかい歌詞なんて絶対に書けそうにない心境の時期でゴリゴリのダークソングなら書けるなーって状況でして(笑)。でも、ギリギリになってようやくあたたかい気持ちを思い出し……。
――歌詞といえば"足跡をつけて"という歌詞が出てくるじゃないですか。ペリカンって鳥なのに、あえて足跡というワードを使っているんだなと、印象的でした。
たとえばマグロだと海の中で止まらないじゃないですか。でも、飛び続けている生き物っていないんじゃないかと思ったんですよ。蝶々はお花に留まったり、鳥も巣だったり木だったりに留まるじゃないですか。短い時間だったとしても、足をチョンッと地面につけないと飛んでいけないと思ったんですよ。
――飛ぶ鳥の中でもペリカンをチョイスしたのは。
これまでを振り返ったときにいろんなことがあったなって。自分の中に「いま充実して飛べてるな」って時期と、「淀んでるな、足を取られているな」って時期があるんですよ。そう思うと、応援してくださる方がいることはありがたいことだなって。自分に対しても「がんばろう」だし、それを聴いてくださる方にも伝えられたらいいなと思ったんです。
――自分のための歌でもあったわけですね。
気持ちを運ぶということで、運ぶといったら、口の中に荷物を詰めて運ぶイメージのあるペリカンかなって。コウノトリも出てきたんですけど、ちょっと意味が変わってくるので(笑)。