朝礼で「ライン作業のボトルネックについて午後から会議を行います」と言われたけど、「ボトルネック」って何のこと?

  • 「ボトルネック」の意味を理解していますか?

というわけで、今回はカタカナ用語ボトルネックについて解説します。

ボトルネックの意味

ボトルネックとは、瓶の首が細くなった箇所を指す英語【bottleneck】から来たカタカナ用語で、その形状から「物事の進行の妨げ」「狭い通路」「障害」といった意味になります。

ビジネスシーンにおけるボトルネックとは

瓶の首は、中の液体が一気に流れ出すのを防ぐ役割を担っていますが、ビジネスシーンでは、「つかえ」や「流れを悪くするもの」といったマイナスイメージが強く、「ビジネスの進行に悪影響を与えるもの」を意味します。

各業界・分野における意味と使い方

ビジネスの進行に悪影響を与えるボトルネックですが、具体的にどのように使われているのでしょうか。それぞれの分野でみていきましょう。

製造業

ボトルネックという言葉を最も使用する分野が、製造業です。製造業では、いくつもの工程を経て一つの製品を作り上げるのが一般的ですが、一つでもスムーズにいかない工程があると、生産性を落とすことになります。

常に生産性向上を目指す製造業においては、いかにボトルネックを作らないようにするか、あるいは、いかに早急に解消するかが重要なポイントです。

経営管理

ビジョンや目標をクリアするためには、全部門あるいは全従業員が協業しなければなりません。例えば、新製品の設計が完成しても、必要な素材を用意できなかったり、設計通り形にする技術がなかったりすれば製品を作ることはできません。

また、せっかく良い製品が完成しても、マーケティングがうまく行かなければ売れませんね。このように、何かしらの目標に向かって企業全体が動いていく中で、足を引っ張ってしまうような部門や人のことをボトルネックと表現します。

IT業界

IT業界では、システムやネットワーク上などで、最適な処理や通信速度を落としてしまうような混雑箇所、あるいは性能的に劣った要素のことを言います。

道路・鉄道・河川

道路では、信号待ちの長い交差点や片側通行といった渋滞ポイントのことを、鉄道では、一部だけ単線になっている箇所などを、河川では、川幅が狭かったり急に湾曲してたりしている箇所など、いずれも流れを悪くする地点や要因を指してボトルネックと呼びます。

アパレル業界

アパレル業界では、首の部分が短めに立ち上がった折り返し不要の服をボトルネックと呼びます。

ちなみに、折り返し不要でも立ち上がりが長めのものは「ハイネック」、一重あるいは二重に折り返すものが「タートルネック」です。

ボトルネックの例文

●第3工程がボトルネックとなっていて、目標の生産量に達しません。
●どの部分がボトルネックになっているのかを、早急に調査してください。
●反対意見ばかりを出す人は、プロジェクトのボトルネックでしかない。
●新規事業に参入したいが、資金不足が最大のボトルネックだ。
●高架橋を設置することで、ボトルネックが解消された。
●ボトルネックポイントの防波堤を高くしないと、いつか氾濫するだろう。
●今年の秋は、ボトルネックの服がトレンドになると予想されています。

ボトルネックの類語表現

律速(りっそく)

律には「基準となる決まり」「のっとる」という意味があることから、「速さを律する(制御する)もの」「物事の進み具合や性能を左右する要因」を意味し、特に「速度」に関するボトルネックのことを指します。

化学分野で使われることが多く、ある一つの化学反応を構成する素反応(それ以上分けられない個々の反応)の中で、最も速度が遅いものを「律速反応」または「律速段階」と呼び、その素反応の速度が全体の反応速度を決定づけます。

隘路(あいろ)

隘は「狭い」「険しい」、路は「道」という意味であることから、「険しい道」「物事の進行の妨げになるもの」「難関」といった意味になります。


カタカナ用語を多用されると鼻につくものですが、「律速」「隘路」といった日本語では理解し難く、また、「急に細くなっている地点で」「流れが悪くなっている要因ですが」という会話はスマートではありませんね。

本来カタカナ用語とは、日本語よりもイメージしやすく、かつスマートな会話のために使用するものです。その形状さえ思い浮かべればおおむね理解できる「ボトルネック」は、便利なカタカナ用語といえるのではないでしょうか。