JR西日本は27日、新快速「Aシート」の報道公開を実施した。新快速「Aシート」は3月16日のダイヤ改正に合わせて導入される有料座席サービス。12両編成の新快速の1両(9号車)を有料座席とし、野洲~姫路・網干間で1日2往復の運行を予定している。
新快速「Aシート」は4両編成の223系1000番台2編成の先頭車(「クハ222-1008」「クハ222-1007」)を車両改造し、快適性を高めた有料座席を設置。1両あたりの着席定員は46名となる。今回は新快速「Aシート」の車両「クハ222-1008」を含む4両編成(残り3両は「モハ223-1012」「サハ223-1020」「クモハ223-1008」)が報道関係者らに公開された。
従来の223系1000番台は片側3ドアだが、新快速「Aシート」の車両は中央部の乗降ドアが閉鎖された。片側2カ所となった乗降ドアは出入口を明確化するため、戸先に黄色のアクセントを施した。ドア付近に新快速「Aシート」のロゴマークも配置している。車体側面は窓回りに黒、窓下にブルーの帯(白のライン入り)を採用しており、これは外装を一新した特急「サンダーバード」と共通するカラーレイアウトとのこと。窓下の帯は従来の新快速車両(223系・225系)で使用される帯カラーとの連続性も表現している。
車内設備は特急車並みのグレードをめざした。客室内の座席は横4列(2列+2列)の配置で、リクライニング機能を備えた回転座席とし、シートピッチは特急車(970mm)と同等にまで拡大している。座席幅は450mmとのこと。各座席にコンセントと大型テーブルを取り付け、無料Wi-Fiサービスにも対応。シートカバーの後方に乗車整理券を入れるポケットを用意した。スーツケースなどを置ける荷物置場も客室内に新設している。床敷物を張り替え、壁や客室仕切り(通路部引戸なし)に木目調のデザインを採用。内装の工夫に加え、電球色の照明とすることで、落ち着きのある車内空間を提供する。
ドア付近はデッキ立席エリアとされ、吊り手も用意している。トイレは従来の和式から車いす対応の洋式トイレに改良。車いすスペースも新設した。ちなみに、4両編成の先頭車を新快速「Aシート」の車両としたことに関して、トイレが設置されていたことも理由のひとつだという。また、新快速は4両編成・8両編成で連結した12両編成で運行する際、編成間を行き来できないようにしており、編成間の先頭車は乗客の通行が少なく、車内の快適性を維持できることも理由に挙がっていた。
「Aシート」の「A」は、快適性を表す「Amenity」の頭文字、新快速が走るJR神戸線・JR京都線・琵琶湖線の路線記号アルファベット「A」、関西弁の「ええ(良い)」など複数の意味を込めた。シンボルマークは「A」のフォルムにリクライニングシートの形状フォルムを組み合わせ、シート部分をゴールドとして新快速「Aシート」の特徴を協調。JR西日本の企業カラーと路線カラーを意識したブルーを基調にデザインされている。
新快速「Aシート」は3月16日以降、平日・土休日ともに1日2往復を運行予定。着席料金は500円(乗車券等は別途必要)で、支払いは現金または交通系ICカードで行う。自由に座席を選べる着席サービスとされ、客室内の空席に座った後、係員に着席料金を支払い、乗車整理券を受け取る方式に。なお、満席の場合は空席が出るまで立席エリアで待つ必要がある。
土休日の運行時刻は姫路駅8時40分発・野洲駅10時43分着、野洲駅11時59分発・姫路駅14時2分着、姫路駅16時10分発・野洲駅18時16分着、野洲駅19時28分発・姫路駅21時34分着。平日の運行時刻は網干駅7時22分発・野洲駅9時49分着、野洲駅10時59分発・姫路駅13時2分着、姫路駅18時10分発・野洲駅20時16分着、野洲駅20時59分発・網干駅23時16分着。なお、将来的な新快速「Aシート」の追加導入や運転区間拡大などについては現時点で未定とされ、「お客様の利用状況をもとに見極めたい。多くの人にご利用いただき、拡大につなげていければ」とのことだった。