今回のビジネス用語は「BPR」です。日本国中で「働き方改革」に取り組まれるようになった今だからこそ、押さえておきたいこの言葉。解説していきましょう。

  • BPRの意味を理解していますか?(写真:マイナビニュース)

    BPRの意味を理解していますか?

ビジネス・プロセスとは何か

BPRとは【Business Process Re-engineering】の略で、ビジネス・プロセスを抜本的に見直し、仕組みを新しくする「業務改革」のことをいいます。BPRについて詳しく説明する前に、まずは「ビジネス・プロセス」とは何かを見ていきましょう。

どんな事業も「活動の連鎖」によって成り立っています。たとえば製品の製造販売なら「企画→設計→生産→販売→アフターサービス」という連鎖がありますし、人材採用なら「計画→募集→選考→内定→入社」という連鎖があります。

このように、目的が決められていて、始まりと終わりがあって、くり返される活動の連鎖が「ビジネス・プロセス」です。企業の中の連鎖は1つだけではありません。どんな企業も、商品・サービスを提供しながら、資金調達や経営計画の立案、給与や保険の管理、人材教育、季節の行事の準備など、さまざまなことを同時に行っています。

ビジネス・プロセスの種類

ビジネス・プロセスには大きく分けて、経営のための「管理プロセス」と、コア事業である「運用プロセス」と、それを支援する「支援プロセス」があります。企業のビジネスは、こうしたさまざまなプロセスが、担当者や部門を横断しながら、複雑に繋がって動いているのです。

ところが現代の企業は、あまりにビジネス・プロセスが複雑になりすぎて、全体像を経営層しか、(あるいは誰も)知らないような事態になってきました。隣の部門が何をやっているのか、きちんと把握している人は少ないでしょう。分業化によって、本当は繋がっているプロセスが、分断されているように見えてしまっているのです。

全社で業務を見直すBPR

分断された組織や孤立した業務内容、細分化されたビジネスルールを見直し、最終顧客に向かう「ビジネス・プロセス」を再設計(リ・エンジニアリング)することで、飛躍的なコスト削減や生産性向上を目指そうという経営コンセプトが"BPR"です。

たくさんのプロセスが複雑に関係しているシステムは、企業だけに限りません。宇宙や自然は複雑なシステムの代表ですし、私たちの身体も同じです。食事と運動と睡眠の関係について知らずに、どうして身体の健康を保つことができるでしょう? 植物と動物と微生物がのびのびと生きられる環境でなければ、生態系が安定することはありません。

企業も同じです。起きている活動を見渡し、その流れに首尾一貫性を持たせることによって、全社的な改革をもたらそうという考えがBPRなのです。

BPRの歴史

BPRの原型になる概念は、1990年にMIT(マサチューセッツ工科大学)でコンピューターサイエンスを教えていたマイケル・ハマーによって提唱され、その後、経営コンサルト達によって広まりました。業務プロセスからムリ・ムダ・ムラを取り除き、素早く顧客ニーズにこたえられる体制に脱皮する経営手法は、1980年代に「ひとり勝ち」していた日本の製造業に学んだとされています。

時代は下り、バブル崩壊を経た現代の日本においても、BPRは注目される概念となってきました。日本能率協会が行った2014年の調査によれば、日本国内企業89社のうち約7割がBPRに取り組んでいます。
※「BPR(業務の抜本的改革)」に関する実態調査報告書より

長時間労働の是正やワーク・ライフ・バランスの実現、柔軟な働き方への環境整備といった「働き方改革」に国を挙げて取り組むようになった今、業務を根底から見直すBPRは効果的な手法として注目されているのです。

【例文】
「シックスシグマとシェアードサービスのどっちが、我が社のBPRに向いているのかな」
「BRPだからって、何でもかんでも白紙に戻すと混乱するだけだ」