みなさんは、上司に「さすがですね」なんてつい言ってしまうことはありませんか? 実はこの言葉、目上の人に使うのは失礼なのだとか……。そこで本稿では、目上の人を褒めるときの正しい表現についてお話ししたいと思います。
■目上の人に「さすがです」はNG
子どもが文字を書けるようになったら「上手だね」、運動会で1位になれば「すごいね」などと褒めてあげるのが一般的ですが、上司や先輩を褒めるとき、みなさんはどんな言葉を使うでしょうか。例えば、ゴルフで部長がプロ並みのスコアを出したなら「部長、さすがですね」、先輩が完璧なプレゼンをしたなら「先輩、すごかったですね」と言ってしまいたくなりませんか?
相手を「褒める」という行為はコミュニケーションの基本です。しかしながら、目上の人に対して、「さすが」「すごい」などと褒めることは失礼にあたるとされているのです。なぜでしょうか。
「褒める」という言葉には、「人のしたこと・行いを優れていると評価して、そのことを言う」という意味があります。つまり、「褒める」という行為は「評価する」ことなのです。評価は目上の人が目下の人に対して行うのが基本です。したがって、「目上の人を褒める」こと自体が間違いとされているのです。
上司や先輩に気に入られようと安易に言葉を使うと、かえって評価を下げることになりかねませんので、注意しましょう。
■目上の人を褒めるには
褒め言葉にもいろいろありますが、上司につい言ってしまいそうな褒め言葉と言えば、「さすがです」「すごいですね」「なかなかなものですね」「大した腕前ですね」「感心しました」などでしょうか。本人にしてみれば、「すごい」という感想を率直に表現したにすぎないかもしれませんが、いずれの表現も少々上から目線の発言と受け取られてしまっても仕方がありません。
では、目上の人を褒めたいときはどうすれば良いのでしょうか。
まずは、「さすがです」「すごいです」など、評価をダイレクトに示すような表現を避けることです。例えば、部長がプロ並みのスコアを出したなら「部長、どうしたらそんなスコアを出せるようになるんですか」、先輩のプレゼンに感動したのなら「あんなに説得力のあるプレゼンは初めてです」と言うのはいかがでしょうか。
また、「私のスイングのどこが悪いのでしょうか」「プレゼンを成功させる秘訣は何ですか?」などと関心を示すと、相手も気を良くして会話も弾むことでしょう。さらに、スイングや秘訣を教えてもらった場合には、「勉強になります」とひと言添えると印象もグッと良くなるはずです。
■もしも上司に「さすがです」と言ってしまったら
もし、「さすがです」「すごいですね」という言葉が先に出てしまった場合には、それはそれで構いません。つい口を突いて出た言葉には、あなたの素直な感情が表れているはずです。ただし、それで終わりにするのではなく、「部長、さすがですね」「どうしたらそんなスコアを出せるようになるんですか?」と、間髪入れずに続けると良いでしょう。
大人になるにつれ、プライドや余計な感情が邪魔をして、誰かを褒めることに難しさを感じるようになる人も多いのではないでしょうか。相手の優れた言動を「素直に褒める」という行為は、重要なビジネススキルと言えます。正しい褒め方を身に付け、さらなるスキルアップを目指しましょう。