『大統領の陰謀』(1976年)

アカデミー賞8部門ノミネート4部門受賞の社会派映画であり、名優ロバート・レッドフォードとダスティン・ホフマンが熱血新聞記者を演じた実話の映画化。米ニクソン大統領を辞任へと追い込んだ歴史に残るウォーターゲート事件の真相を調査したワシントン・ポストの記者2人に焦点を当て、その道のりこそ「不可能を可能にした出来事」だったと伝えている。

大統領の不正を暴くという、まさに一大事件であり、この告発が事実かどうかも慎重に調査しなければならず、紙面に出たところで、2人はもちろん、ワシントン・ポストという会社、そして間違いなく国家を揺るがす結果になる最大機密。ジャーナリストであり、会社員である彼らが、国のトップにメスを入れる勇気と信念は、立場や職業は違えど、仕事を通して社会につながる自分たちの仕事への向き合い方を考えるきっかけになること間違いなしだ。

幾度となく妨害が降りかかる中で、どうやって乗り越えていったのか? 企画を実現したい人にも役立つ一本。この事件に興味を持ったのなら『ペンタゴン・ペーパーズ』と『ザ・シークレットマン』を観るのもおすすめ。

『主人公は僕だった』(2006年)

退屈な人生が激変してしまう、刺激と喜びにあふれるハートフルコメディ。毎日、同じことを繰り返す平凡で退屈な人生を送っていた主人公・ハロルド・クリックを突然襲った奇怪な出来事は、どこからか聞こえて来る“女性の声”。それはまるで自分が小説の主人公のような描写で語って来て、間違いなく自分の行動を説明している。さらには「ハロルドは直に死ぬ」とまで言ってくる。

もし自分の未来を予知するような声が聞こえてきたら? 人生をどう過ごすのが後悔しない生き方なのだろう? そんなことを想像しながら、主人公に感情移入し、彼が経験するギターに挑戦する、映画を観る、恋をするなど、やりたいことすべてを一緒に体験している気分にさえなる。

人生はいつ終わるかわからない。そう思うとやりたいことはなんでも挑戦するのが人生を謳歌するということなんじゃないか。仕事もプライベートもやりきってみるとチャーミングな大人になれるに違いないと思える。

『プライベート・ライアン』(1998年)

アカデミー賞11部門にノミネートされたスティーヴン・スピルバーグ監督の戦争映画。第二次世界大戦で地獄絵と化したノルマンディー上陸作戦を舞台に、ひとりの兵士を救出するミッションを遂行しようと前進する兵士チームの熱き絆の物語は、壮絶だけれど希望に包まれる一作だ。

冒頭の上陸作戦シーンは、手持ちカメラ撮影でその場にいるような恐怖さえ感じるけれど、それだけ戦争は恐ろしく、命の重さを体感する映像。仕事は皆でひとつのことを達成するというチームワークも重要であり、この映画では、ライアン一等兵を探すために、トム・ハンクス扮するミラー大尉が、個性あふれる新鋭チームを携えて戦火を突き進む。

個性が集まり、力を合わせることで最大限の力が発揮できることを実感し、仕事でのチームプレーでも役立つはずだ。顔も知らないひとりの男を救うため、兵士たちが命をかけて捜索する姿に胸が熱くなり、今日という一日を大切に、一生懸命、頑張ろうと思える名作中の名作。

『幸せのちから』(2006年)

ホームレスから億万長者になった実在する人物・クリス・ガードナーをウィル・スミスが演じた感動作。この映画でウィル・スミスは、実の息子と共演し、アカデミー賞主演男優賞にノミネートもされた。

主人公の男は事業に失敗し、生活苦から妻は出て行き、小さな息子と2人でなんとか生きていくという生活からどうやって成功したのか? 仕事を成功させることで、愛する家族を幸せにするというアメリカンドリームをつかんだ男の実話は、逆境に負けない強さと、守るべきものがあるから頑張れるという愛の力こそ成功のカギだと教えてくれるはずだ。

現在公開中の『パッドマン』(2018年12月7日公開)も同じように成功をつかんだ実話の映画化だが、なによりポジティブでいること、発想の転換が大事ということが映画を観るとよくわかる。この映画では、ウィル・スミスが愛する実の息子と共演しており、さらに親子のシーンが愛おしい。誰かのために働くこと、そのお金で払ったご飯を美味しそうに食べてくれる愛しい人の姿こそ、働くことの生きがいなのかもしれない。

『クリード 炎の宿敵』(2019年)

スポ根映画の金字塔と言えば『ロッキー』シリーズの右に出るものなし!……と思いきや、シルベスター・スタローンがボクサーを演じ脚本も書いたこの人気シリーズの新章『クリード 炎の宿敵』も傑作だ! 黒人の若手スターに引導を渡す作品となった『クリード チャンプを継ぐ者』の続編である今作は、正月明けに観るに相応しい感動と興奮がやる気を奮い立たせてくれる新作映画。

年老いた伝説のボクサー・ロッキーのもとに旧友であり良きライバルだったアポロ・クリードの息子アドニスがやって来てボクサーとして指南を受け成長していく姿を描いたのが前作。今作は、アドニスが父を殺したボクサー・ドラゴの息子と因縁の戦いに挑む。実はカップルにもおすすめできるラブストーリーとして、夫婦円満のきっかけにもなる内容であり、年の離れた上司と部下の付き合い方も学べる脚本には脱帽。中盤から熱い涙が止まらなくなる熱血情熱ドラマなのでアドレナリン放出は必須。日本公開は2019年1月11日。

新しい年の始まりにやる気みなぎるスタートダッシュをきられるよう、ぜひとも参考にしてもらいたい。

※年号はすべて製作年

監修者プロフィール: 伊藤 さとり(いとう さとり)

邦画&洋画の記者会見や舞台挨拶を週5回は担当する映画MCであり、年間500本以上映画を観る映画コメンテーター。TV、ラジオ、雑誌、WEBなどで映画紹介のレギュラーを持つ。

TSUTAYA店内放送「WAVE-C3」で新作DVD紹介のDJを担当。俳優との対談番組ケーブルテレビ無料放送チャンネル×ぴあ映画生活×Youtube:動画番組「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、スターチャンネル、東映チャンネルでの映画解説、デイリースポーツでスターの魅力コラム連載他、日刊スポーツ映画大賞審査を務める。また心理カウンセリングも学んだことから映画で恋愛心理分析や心理テストも作成している。