昨年は1日無料の「フリー乗車デー」を開催し、多くの人が押し寄せた東急池上線。今年も沿線を活性化させようと「生活名所」プロジェクトが動いた。11月23~24日の2日間、全15駅でお祭り催事を行う「池上線全線祭り」が開催されている。

  • 「池上線全線祭り」は11月24日まで開催。11月23日に運行された「乾杯電車」では、西島三重子さんと東急電鉄の平江良成氏が乾杯の発声を行った

開催初日の11月23日朝、洗足池ボートハウス屋上にてオープニングイベントが行われた。東急電鉄鉄道事業本部事業推進部沿線企画課の平江良成氏をはじめ、東急関係者から沿線各駅周辺の商店街団体会長・理事長まで、総勢19名が出席した。

オープニングイベントで挨拶した平江氏は、「池上線は『住んでよかった』と言われているものの、他の沿線の人にはそのことが知られていないため、地域のブランディングを行っているところです。昨年のフリー乗車デーでは、認知度が15%アップしました。このイベントを機に、多くの人に池上線沿線を訪れてほしい」と述べた。

東京を舞台としたマナー向上プロジェクト「Tokyo Good Manners Project」の理事を務める水代優氏は、挨拶の中で「おもてなしや気遣い、思いやりの共有」を訴えた。同プロジェクトは今回、洗足池駅周辺のクリーンアップ活動を行ったという。「街の手帖 池上線」の編集長、針谷周作氏は池上線を「ネタの尽きることがない多彩な15駅」と評した。

  • 池上線の現在の主力車両は7000系と1000系。11月24日には7700系さよならイベントが開催される

  • 洗足池ボートハウスにてオープニングセレモニーを開催。登壇者による記念撮影も

「池上線全線祭り」では、洗足池のボート無料乗艇、池上本門寺商店街や戸越銀座商店街でのストリートビュッフェなど、さまざまなイベントが同時開催され、どの駅も多くの人でにぎわった。洗足池のボートには開始前から長い行列ができていた。

池上線の電車内で「池上線」を歌う

この日の目玉となったイベントは、池上線車内でお酒を味わいながら、シンガーソングライターの西島三重子さんが歌う名曲「池上線」を楽しむ「乾杯電車」。池上線の電車内でサッポロビールのチューハイ新製品「サッポロ99.99」とおつまみが提供された。当日の参加者は約70名だったが、参加希望者はその5~6倍もいたという。

西島さんは昔ながらの商店街が残る池上線を高く評価しているとのことで、「どの駅を意識しているのかとよく聞かれますが、あなたの心の中にある池上線の駅を思い浮かべてください」と参加者らに話していた。代表曲「池上線」も車内で披露。この曲は2007年の池上線全通80周年のときにも車内で歌われ、今回が2度目だったという。

  • 「乾杯電車」の案内表示は「臨時」

  • 車内でチューハイが配られる

  • 「池上線」を歌う西島三重子さん

「乾杯電車」は7000系を使用して運行され、雪が谷検車区から五反田駅に向かい、折り返して蒲田駅へ。参加者はお酒と西島さんとのトークで盛り上がった様子だった。

東急池上線は長年活躍した車両7700系の引退でも注目されている。「池上線全線祭り」の初日は走行する姿を見られなかったものの、ラストランに向けて準備を進めているとのことで、11月24日午後に「惜別! 7700系さよならイベント」として乗車会が行われる予定だ。「池上線」の歌で歌われた「車両のすきま風」は遠い昔の話となり、魅力を増した池上線が多くの人を引き寄せる。そんな中、7700系は東急での最後の仕事に向かう。