もうすぐ、一年でもっとも肉需要が高まる日と言っても過言ではない「11月29日(いい肉の日)」がやってくる。また、12~1月にかけては友人や家族と自宅で焼肉パーティをするという人も多いだろう。肉は疲労回復に欠かせない「動物性たんぱく質」が豊富とあって、師走疲れのビジネスマンにもぴったりな食材。

  • 家焼肉のプロに聞いた、安い肉が劇的においしくなる方法

    エバラ伝統の『漬け込み焼肉』とは?

でも、問題なのがお財布事情。いいお肉を食べようと思えば、それ相応のマネーがかかってしまう。物入りの年末とあって、なるべく出費は抑えたい。でも、おいしい肉を食べたい。このジレンマを解決してもらうべく、家焼肉のプロ「エバラ食品」さんに「安い肉が劇的においしくなる方法」を教わってきた。

『漬け込み焼肉』なら、お肉が格段にウマくなる!

おいしいお肉は食べたいけど……「3日前から肉を熟成させて~」とか「高性能なホットプレートを使って~」とか、面倒なことはしたくない。そう伝えると、エバラ食品のマーケティング部・石井敦史さんいわく「スーパーの格安お肉とフライパンと焼肉のたれだけあれば大丈夫です」とのこと。その方法が、エバラ伝統の『漬け込み焼肉』だという。

  • 『漬け込み焼肉』のテクニックを教えてくれた、エバラ食品のマーケティング部・石井敦史さん

エバラと言えば「焼肉のたれ」。創業当時の60年前、食卓に並ぶお肉はお世辞にもいい質と言えるものではなかった。そのため、焼く前に肉をたれに漬け込むことで旨味を閉じ込めたり、臭みを抑えたりといった効果がある「焼肉のたれ」が開発されたそう。今や、肉の質が向上したことで食べ方も変化し、「たれは焼いた後につけるのが当たり前」と思っている人も多いはず。でも実は、この『漬け込み焼肉』こそ、エバラ伝統の技と言えるものなのだ。

  • エバラ食品の「焼肉のたれ」と「黄金の味」

肉の質が向上したといっても、いい肉が食べられる機会なんてごく僅か。輸入牛など安価な肉を食べることの方が多いという家庭がほとんどだろう。石井さんは「これからも輸入肉が増加し、それと同時に安価な肉も増えていくことが見込まれています。そのため、安いお肉でもおいしくなる『漬け込み焼肉』のテクニックは、ぜひ知ってほしいですね」と話す。

『漬け込み焼肉』のメリットは、大きく3つ。

・やわらかくジューシーになる
肉の組織の中までたれが入り込むことで、肉汁の流出を防ぎ、やわらかくジューシーに仕上がる。

・肉の旨味が引き立つ
たれに含まれるグルタミン酸や糖類、有機酸が肉の旨味を引き出す。

・肉の臭みが消える
たれに含まれている香味野菜や香辛料などが肉の臭みを消す。また、食欲をそそる香ばしさや焼き色が生まれる。

『漬け込み焼肉』の作り方

ではでは、実際に『漬け込み焼肉』の作り方を紹介していきたい。

1.たれを肉に揉みこむ
袋に肉を入れ、肉の重量に対して20~25%のたれを投入。手で握りながらしっかりと肉を揉む。そして、冷蔵庫に入れて30~1時間ほど寝かせる。

  • 牛肉だけでなく、豚や鶏肉も同じ要領でOK

  • しっかりと握って揉みこんでいく

2.焼く前に、肉を常温に戻す
冷蔵庫から肉を取り出し、約30分~1時間かけて常温に戻す。冷えた状態のままフライパンで熱すると、急激な温度変化で味が損なわれてしまうそう。

  • 平たくならすと早く常温に戻る

  • 漬け込み前と後ではこんなに大きさが違う。左が漬け込み前、右が漬け込み後

3.フライパンをしっかり熱する
フライパンを中火にかけ、薄く煙が出始める温度(200度)まで熱する。このとき、まだ油は入れない。油を入れてしまうと、油だけが高温になって肉を焼いたときにムラができてしまう(※加熱時間はフライパンの材質によって異なるので注意)。

  • 薄く白い煙が出始めるまで熱する

4.火を止めて油をなじませる
一度、火を止めて油を入れ、キッチンペーパーなどを使って全体に薄くなじませる。これによってフライパンに油の膜ができあがり、肉のこびりつきを防ぐほか、均一な温度で肉を焼くことができる。

  • 火を止めて油を入れる

  • キッチンペーパーなどを使って全体に油をなじませる

5.強めの中火で丁寧かつ速やかに肉を焼く
肉を手早く、丁寧に並べて焼く。この際、焼く量は少量ずつにするのがポイント。大量に投入すると、フライパンの温度が下がって焼きムラの原因に。

  • 肉は少量ずつ焼くのがポイント

6.肉汁が浮いてきたら裏返す
肉汁が浮いてきたら、肉を裏返す。ちなみに肉の中心温度は65度が目安で、ちょうど肉汁が浮いてくるのが、このタイミングとのことだ。

  • このように肉汁が浮いてきたら、裏返そう

  • 焼き色が美しい

7.残った漬けだれを鍋肌から回し入れて仕上げる
漬けだれ(残っていなければ、新しいたれでOK)を鍋肌から回し入れ、照りや食欲をそそる香りが出てきたら完成。

  • 追加の漬けだれは、鍋肌から回し入れるのがポイント

※たれは「黄金の味 中辛」を使用

『漬け込み焼肉』を食べてみた

この『漬け込み焼肉』のテクニック、正直言ってほとんど手間がかからない。いつも家で肉を焼くのと大差はない。でも、実際に食べてみると……味は大違い、いや見た目からして大違いだった。

今回、肉はスーパーで格安の輸入肉を調理してもらった。まずは、フツ―に焼いたお肉から食べてみる。フツ―とは、肉を漬け込まず、常温に戻さず、フライパンの温度も気にせず……ごくごくいつも通りに焼いたものだ。そのお味は、至ってフツ―。少しばかり肉の臭みが感じられるが、おいしい。当たり前だが、いつも家で焼いて食べるのと同じ味。

  • いつも通りに焼いた肉

では、今度は『漬け込み焼肉』を実食。さっきと同じ肉なのに一枚一枚のサイズが明らかに大きいし、焼き色も食欲をそそる仕上がり。頬張ると、ものすごくやわらかいことに驚き! しかも味がギュッと詰まっており、噛むたびに旨味が出てくる。臭みはまったく感じられない。あと、たれの味も染み込んでいるとあってご飯とも相性抜群。こうまで劇的に違うとは、本当にびっくりだ。

  • 『漬け込み焼肉』の肉。見た目からしておいしそう

ちなみに、豚肉も同じ要領で焼いてもらったのだが(※たれは「焼肉のたれ 醤油味」を使用)、これまた抜群にウマい。たれの種類を変えたので、あっさりとした醤油味が肉の旨味を引き立ててくれる。

  • もちろん牛肉だけでなく、豚肉や鶏肉もおいしく仕上がる

11月29日(いい肉の日)や年末年始の家焼肉には、ぜひこの『漬け込み』テクニックを駆使しておいしいお肉でお腹をいっぱいに満たして欲しい。