JR東日本は3日、JR東日本グループの社員が過去の事故を忘れることなく、より深く過去の事故の教訓を学ぶことをめざし、「事故の歴史展示館」を拡充すると発表した。福島県白河市のJR東日本総合研修センター内に建屋(本館・考察館)を新たに設け、教育内容をさらに充実させるという。

  • 拡充した「事故の歴史展示館」外観(左側が本館、右側が考察館)。写真はJR東日本提供

本館では、大きく取り上げる34件の事故と、それに関連する約80件の事故を取り上げ、事故の要因や対策の成り立ちをより理解できるようにしている。展示は従来のパネルを中心としたものから、パネルとデジタルサイネージを組み合わせた理解しやすい工夫が新たに採用された。事故の対応などに携った人々から当時の経験とメッセージを聞くことで、事故防止に対する思いや事故の対策がより腑に落ちるようにしている。

考察館では、2014年2月に京浜東北線川崎駅構内で脱線した車両と衝撃した工事用車両の実物を展示し、事故の状況を再現した。実物車両の内部も見ることができるようにし、社員が事故の恐ろしさを肌で感じるとともに、事故を自分の事としてとらえ、事故に至った要因をさまざまな面から考察できるようにしている。

  • 本館展示イメージ(JR東日本提供)

  • 京浜東北線川崎駅構内列車脱線事故の再現(JR東日本提供)

「事故の歴史展示館」は、過去に発生した事故の概要や対策を当時の新聞記事とあわせたパネル展示として、2002年11月にJR東日本総合研修センター内に開設。その後、中越地震で脱線した新幹線車両(2004年10月)、羽越本線で脱線した車両(2005年12月)、東日本大震災で津波に襲われた車両(2011年3月)を展示した「事故の歴史展示館(車両保存館)」を2014年4月に増設し、事故の教訓を学び、事故の恐ろしさを胸に刻み、具体的な行動につなげる取組みを推進してきた。

今回拡充される「事故の歴史展示館」は10月5日に開設される予定。同施設を利用し、JR東日本の社員およびグループ会社や関係会社の社員らに対し、「安全システムの歴史や作業ルールが決まった経緯」「事故防止の考え方」「お客さま等の命を守ることの重要性」など、座学と合わせて教育していくと説明している。