養老鉄道養老線の車両更新が21日に発表された。養老線管理機構が事業主体となり、東急電鉄の中古車両7700系を東急テクノシステムから購入。2018~2019年度にかけて計15両(3両編成×3編成、2両編成×3編成)導入し、養老線の車両(全31両)の約半数を更新する。
大垣駅経由で桑名~揖斐間を結ぶ養老線(57.5km)では、沿線市町でつくる養老線管理機構が駅・車両などの施設を保有・維持管理し、養老鉄道が運行業務を担う公有民営方式の事業形態が採用されている。養老線の現行車両は1968~1970年製であり、老朽化が進んでいることから、養老線管理機構を事業主体に「塗装費や動力費等の削減、サービス向上」を目的とした車両更新が進められることになった。事業費は6.1億円で、国・岐阜県・三重県・沿線市町の補助金および養老線支援基金などを活用するとしている。
今回の発表によれば、車両更新にともない廃車となる15両(2両編成×3編成、3両編成×3編成)は1966~1970年製で、導入からの経過年数は47~51年とのこと。これに対し、導入車両の東急電鉄7700系は1963~1966年製だが、1987~1991年にかけて「車体以外の台車、電機品、内装などを総取替済みであり、今後30年程度利用する」と説明。あわせて導入効果として「ステンレス製のため、腐食がなく塗装費等の維持管理費の削減ができる」「空気ばね台車のため金属ばね台車より乗り心地が向上する」「VVVFインバータ制御のためメンテナンス労力の削減及び動力費の削減ができる」「回生ブレーキ採用のため動力費の削減ができる」などを挙げている。
東急時代の外観デザイン踏襲、車内にクロスシートも
養老線へ導入される15両はすべて今年度中に購入し、9~12月に陸送にて納入予定(陸送日程など詳細は調整中)。15両中6両(3両編成×2編成)は今年度中に改造工事を行うため、近畿日本鉄道の塩浜検修車庫へ直接輸送される。残る9両(3両編成×1編成、2両編成×3編成)は西大垣駅に留置され、2019年度の改造工事を予定している。
東急電鉄7700系は池上線などで活躍した車両で、車体前面の窓下に赤帯を入れた編成の他に、車体前面の扉を黒、前面の扉付近から車体側面にかけて赤帯を配した独特な外観デザインの編成も見られた。養老線への導入後もほぼこのデザインが踏襲されるが、2018年度に導入される2編成のうち1編成は「緑歌舞伎」と呼ばれる緑帯を配した外観となる。もう1編成は赤帯の外観に。2019年に導入される編成は緑帯が2編成(ともに2両編成)、赤帯が1編成(2両編成)、「赤歌舞伎」が1編成(3両編成)となる予定だ。
車内の各設備は養老線の仕様に合わせて変更。シートはひょうたん柄をあしらい、一般席は緑、優先席は青の配色とする。サービス向上を目的に、一部の3両編成の中間車に8席分のクロスシートを設けるほか、すべての編成で車いすスペースも設置。先頭車の運賃箱に加え、新たに運賃表示板(デジタル表示)も設置して利便性向上を図る。
養老線では2018年度改造の6両(3両編成×2編成)の運行開始に合わせ、記念事業や廃止車両のお別れイベントなどを検討中。記念事業および車両更新に関する情報は「詳細が決まり次第、随時、お知らせします」としている。