さて、まずはこちらから。グラフ1がOverallである。当たり前といえば当たり前であるが、それほど並列度が高くない処理の多いPCMark 10の場合、コア数が少なくてもその分、動作周波数の高いRyzen 7 2700Xが最高速なのはまぁ納得できる。Ryzen Threadripper 2950Xも意外に(といってはアレだが)健闘していると思う。
気になるのは、ExtendedでもRyzen Threadripper 2990WXが伸びないことである。そこで個々のTest Suiteを見たのがグラフ2。
Gamingについてはあとで3DMarkで再検討するとして、Ryzen Threadripper 2990WXではDigital Contents Creationが意外に伸びてない。なぜ? ということで、このDigital Contents Creationの中身がグラフ3である。
Photo EditingとVideo Editingが今一歩なのは、マルチスレッドにあまり対応していない(から、Ryzen 7 2700Xが一番性能が高い)のはわかるとして、Rendering and Visualizationが大幅に低いのはちょっと納得がいかない。ということでこちらの中身を見たのがグラフ4である。
これは生の性能で、3DMark Slingshotのフレームレートは大きいほど高速、POV-Rayの所要時間は短いほど高速となる。つまりPOV-RAYに関していえば、確かにRyzen Threadripper 2990WXは最高速なのだが、この性能の高さを埋めてお釣りが来るほど、3DMark SlingShotの性能が低いのが、全体として足を引っ張っていると理解できる。
3DMark Slingshotは、OpenGL ES 3.1に準拠したAndroid/iOS用のもので、これをむりやりPCに持ってきたものだが、もちろんマルチスレッドには未対応だから(なにしろドライバが対応していない。せめてVulkanだったらもう少しマシだった「かもしれない」)、そりゃ性能が低くても仕方がないところだろう。まぁそんな訳で、Ryzen Threadripper 2990WXに関していえばスコアが低いのは「テストが悪かった」という感じになるかと思う。