小田急電鉄はこのほど、回生電力貯蔵装置の電源を利用した列車自力走行試験を実施し、急勾配での自力走行に成功したと発表した。
今回の走行試験は、大規模停電によって列車が複々線地下区間(代々木上原~梅ヶ丘間)の駅間に停車したとの想定で、7月11日の終電後に実施された。乗客を安全かつ速やかに最寄り駅で降車させるため、回生電力貯蔵装置の蓄電池のみの電力で列車(4000形10両編成)を自力走行するための検証を行った。
検証の結果、回生電力貯蔵装置の蓄電池のみの電力で、列車を各駅や駅間の勾配箇所に一旦停車させた後、起動させて次駅まで時速15km以下で自力走行できることを確認したという。同区間には小田急線最大の35パーミル勾配(1kmで35m高さが変化する勾配)があり、この勾配上で停車させた列車も蓄電池のみの電力で自力走行(起動)可能であることを確認した。
この装置は今年5月に小田急小田原線上原変電所(東京都渋谷区)に導入したもので、通常時は列車の回生電力を吸収して放電することで、節電効果によるCO2削減を図っている。今後は大規模停電発生時に列車内の乗客をより安全かつ速やかに最寄り駅で降車させられるように、装置の具体的な運用方法を定めるなどして不測の事態に備える考えだ。