つながる機能が若返りの切り札?
先進的なイメージを持つプリウスPHVがコネクティッドカーになるのは、自然な流れともいえる。逆に、クラウンやカローラはユーザーの高齢化に悩んでいた。若返りのためにクラウンではデザインを一新し、カローラでは久々のハッチバックを「スポーツ」という名前とともに送り出した。
トヨタとしては2台の若返り戦略の最後の一手として、初代コネクティッドカーという意外性のあるメッセージを加えたのだろう。とはいえ、プリウスPHVよりもはるかに幅広いユーザー層を狙っているクラウンと、価格をプリウス以下にしたいと考えていたカローラスポーツで、DCMを全車標準装備としたのは、英断ではないかとも思っている。
新型クラウンのインテリアデザインは前回紹介したとおりで、プリウスPHVのような縦長のディスプレイは採用していない。60年以上の歴史を持つクラウンのインパネにはなじまないという判断かもしれない。
しかしながら前述したように、車載通信機DCMは全車に標準搭載となっており、T-Connectサービスが3年間は無料で使える。4年目以降は1年につき1万6,000円(税抜)の利用料が必要となる。
インフラとの通信も増え始める
その内容は、まずドライバー向けでは「ヘルプネット」「eケア」といった安全・安心をサポートするサービスに加え、「オペレーターサービス」 「エージェント」など、カーライフを快適にするためのサービスも提供する。
これらはプリウスPHVなどでも展開しているが、新型クラウンでは「My TOYOTA for T-Connect」という名前を与えており、ドアロックやハザードランプ消灯などをスマホで操作できることに加え、現時点での航続可能距離やクルマの健康状態などが確認できたり、安全運転やエコな運転を診断する機能も追加となったりしている。
さらに新型クラウンでは、上記の「ドライバーとつながる」機能以外に、「街とつながる」「社会とつながる」という点もアピールしている。
このうち、街とつながる部分では、2015年からクラウンに搭載している「ITS Connect」を引き続き採用。ITS専用周波数(760MHz)を活用し、クルマに搭載したセンサーでは捉えきれない、見通しの悪い交差点などでの情報を、他のクルマやインフラと通信を行うことで、ドライバーに知らせて安全運転を支援する。
2015年時点では、インフラ側の通信システム対応交差点は全国で数カ所だったが、今回、記事を書くにあたりトヨタのウェブサイトを見たところ、東京23区内だけでも30カ所近くに増えていた。車両側では「プリウス/プリウスPHV」や「アルファード/ヴェルファイア」が加わっているので、効果を発揮するシーンは増えているのではないかと推測できる。