順天堂大学医学部附属練馬病院メンタルクリニックはこのほど、Appleが公開するアプリケーション専用フレームワーク「ResearchKit」を使用した慢性疼痛研究のためのアプリ「いたみノート」を公開した。

  • 慢性疼痛研究のためのアプリ「いたみノート」公開

    慢性疼痛研究のためのアプリ「いたみノート」公開

慢性疼痛は炎症や刺激による痛み、神経が障害されることで生じる痛み、心理・社会的な要因によって生じる痛みなど、あらゆる要因が複合的に絡み合い発症する。痛みを感じても、日本人は我慢してしまう傾向があり、軽症では医療機関を受診しないまま重症化してしまうケースも少なくないとのこと。

痛みは気象やストレス、不眠などの影響で強まるとも言われているが、これまではそれらの要因を観察するのは難しいとされてきた。現在、情報技術の発達に伴い、運動量、睡眠、気象などをアプリで記録できるようになったことから、今回のアプリの開発に至ったという。

同アプリでは、病院での診察だけでは観察できない日常生活での痛みや抑うつ気分、睡眠障害や運動量などの情報と気象情報を同時に収集する。痛みの変化を記録し可視化できるので、慢性疼痛の重症化も予防でき、セルフコントロールにつなげることも可能だという。

ユーザーには慢性疼痛や睡眠障害、うつの評価をフィードバックする。痛みにより苦痛や苦悩、不安を抱えているユーザーが少しでも楽しめるよう、笑顔レベルチェック機能をつけ、アプリ使用の最後に明るく笑えるような工夫をしているという。

  • 画面イメージ

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対象となるのは、iPhoneユーザー。App Storeから、無料でダウンロードできる。

また、収集情報をビッグデータ解析し、慢性疼痛の増悪因子の究明につなげることも目指しているとのこと。慢性疼痛に悩む患者だけでなく、通院していない潜在的な慢性疼痛予備群の利用も見込んでおり、慢性疼痛患者が痛みによって支障をきたしているQOL(生活の質)の向上にもつなげていく、としている。