ゴールドカードは、一般的なクレジットカード(以下、「一般カード」と呼びます)の上位に位置するカードです。
持っていれば社会的なステータスになり、会員向けの特典も充実しているため、年会費は一般カードに比べて高めで、申し込みの審査も厳しめ。では、ゴールドカードはどうしたら持てるのでしょうか? そして、多数のカードからどう選べば良いのでしょうか?
ゴールドカードの年会費はどれくらい?
ゴールドカードの年会費は1万円前後のものが主流です。とはいえ、ひとくちにゴールドカードといっても数多くの種類があります。高いものは年間2万円台や3万円台、安いものでは2,000円程度のものもあります。
また初年度は年会費無料、2年目以降は利用状況(お買い物代金)に応じて割引される、または無料になるもの、家族カードなら1人分は無料になるものもあります。ですから上手に選べば、決して手が届かないカードではないかもしれません。
ゴールドカードを手に入れるための条件
一般カードと同じく、ゴールドカードにも審査があります。原則として一般カードよりも審査水準は高く、入会申込の時点で満20歳から30歳以上(カード会社により異なります)、本人に安定的な継続収入があることを要件としているカード会社が多いようです。
また、入会申込書に記入した勤務先、年収、資産額などに基づいて、ゴールド会員としての入会の可否やカードの利用限度額を決定する審査が行われます。
具体的な基準はほとんどのカード会社が公表していませんが、原則として一般カードより高めです。年齢が若い、年収が低い、勤続年数が短いなどといった場合、一般カードでは問題がなくても、ゴールドカードの審査には通らないこともありえます。
ただ、一般カードを持っているカード会社でゴールドカードへ切り替える場合には、新規でゴールドカードを申し込むよりスムーズなことがあります。カード会社側がこれまでのカードの支払い状況を把握しているので、延滞などをしたことがなければ信用力が高いとみなされやすいためです。
カード会員向けのインターネットページから切り替え手続きができ、新規に比べて個人情報等の入力項目が少なく済むのもメリットでしょう。ただし、切り替えであってもゴールドカードの申し込みとしての審査はあるため、結果次第では必ずしもゴールドカードに切り替えられるわけではありません。
ゴールドカード選びのポイント
特典が充実しているゴールドカードのなかでも、ものによって強みは異なります。主に次のポイントから、自分にとって魅力のあるカードを探すとよいでしょう。
<1>ステータスの高さ
ゴールドカードの大きな魅力の一つがステータスですが、近年はゴールドカードの種類も増えており、ただ券面が金色であるだけでは社会的にはステータスが高いとはみなされないこともあります。
名実ともに高いステータスのシンボルとしてゴールドカードを持つなら、VISA、Master、JCBなど国際ブランドが自社で発行しているゴールドカードや、海外でもステータスシンボルとして名高いDiners Club、AMERICAN EXPRESSを選ぶと良いのではないでしょうか。
なお、Diners Clubには券面が金色のゴールドカードはありませんが、一般カードの入会基準が高く、他社のゴールドカードかそれ以上のステータスに相当するといわれます。
<2>ポイント還元率の高さ
ポイントを貯めるのを重視するなら、一般カードに比べて高いポイント還元率を誇るゴールドカードを選ぶと良いでしょう。
例えば楽天ゴールドカードは、通常のお買い物でのポイント還元率が1%(利用代金100円に対して1ポイント)と、一般的なカード(利用代金200円に対して1ポイントであることが多い)の2倍です。楽天スーパーポイントの加盟店なら3%、楽天市場での買い物なら最大5%になります。
また、NTTドコモのdカードは、通常のお買い物でのポイント還元率が1%(利用代金100円に対して1ポイント)であるほか、ドコモの携帯電話やインターネットサービス「ドコモ光」の利用では10%(利用代金1,000円に対して100ポイント。一部対象外あり)と還元率が高くなります。
<3>付帯保険の充実度
海外旅行傷害保険、ショッピング保険など、カードに付帯する保険を充実させているゴールドカードもあります。
例えばJCBゴールドカードは、海外旅行傷害保険での死亡、後遺障害の保険金が最高で1億円です。これは海外旅行のツアー代金や、日本の出国前に新幹線など公共交通機関の代金をカード払いした場合の上限額(利用付帯)ですが、カードの利用がなくても最高5,000万円になります(自動付帯)。
また国内旅行でも死亡、後遺障害で最高5,000万円が補償され、国内外ともに、航空機の遅延、乗り継ぎの遅延、手荷物の遅延や紛失で生じた損害については最高2~4万円、カードで買った品物が壊れたり盗まれたりしたときの損害は最高500万円まで補償されます(自動付帯)。
<4>空港・海外での便利さ
海外旅行が多い人は、空港ラウンジを利用できる、空港までスーツケースを配送してもらえる、海外のホテル・レストランで割引がきくなどのサービスが充実しているゴールドカードが良いでしょう。
例えばアメリカン・エキスプレス・ゴールドカードを持っていると、海外旅行の出発・帰国時の自宅から空港間につき、スーツケース1個を無料で配送してもらえます※1。また、自宅から空港間の移動では、提携会社のタクシーを割安定額料金で利用することもできます※1。
国内外の主要な空港では同伴者1名を含めてラウンジの利用が無料、一部の空港※2ならクロークサービスが手荷物2個まで無料です。海外の対象ホテルやレストランでは割引がきくところもあります。
※1.羽田空港(国際線利用のみ)、成田国際空港、中部国際空港、関西国際空港に限ります
※2. 中部国際空港、関西国際空港のみ
航空会社のマイルを貯めるなら、航空会社と提携したゴールドカードもおすすめです。ANAアメリカン・エキスプレス・ゴールドカードでは、上述のアメリカン・エキスプレス・ゴールドカードの一部の特典があるほか、ポイントをANAのマイルに移行可能。
対象の航空便の搭乗券をカードで購入するとボーナスマイルが付く、提携店でカードを利用するとポイントが2倍になる、あるいはポイントとマイルの両方が付くなどの特典もあります。
このようにゴールドカードには、種類によって年会費や優待の強みに大きな違いがあります。ゴールドカードに何を求めるのか、どんな場面でカードを利用するのかによって、自分に向いているカードも変わってきます。
ライフスタイルに合ったカードを選んで、年会費に見合ったメリットを得られるように活用できると良いですね。
※写真と本文は関係ありません
加藤梨里
ファイナンシャルプランナー(CFP(R)認定者)、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員
保険会社、信託銀行を経て、ファイナンシャルプランナー会社にてマネーのご相談、セミナー講師などを経験。2014年に独立し「マネーステップオフィス」を設立。専門は保険、ライフプラン、節約、資産運用など。大学では健康増進について研究活動を行っており、認知症予防、介護予防の観点からのライフプランの考え方、健康管理を兼ねた家計管理、健康経営に関わるコンサルティングも行う。