8年で台数が倍増、MINI好調の要因は

販売台数を8年で2倍以上とするなど、MINIの日本事業は好調だ。MINI本部長のフランソワ・ロカ氏は、豊富なボディタイプやガソリン、ディーゼル、PHVを取りそろえる商品ラインアップに触れつつ、「小型車でこんなにバリエーションがあるのはMINIだけ」とし、その商品力こそ成功の理由の1つと説明した。

  • MINI本部長のフランソワ・ロカさん
  • MINIの販売台数推移
  • ビー・エム・ダブリューのフランソワ・ロカMINI本部長は、MINI好調の理由の1つとして豊富な商品ラインアップを挙げた。右は日本におけるMINIの販売台数の推移を示したスライド

MINIの顧客分布についてロカ氏は、「『3ドア』や『5ドア』といったコアモデルには既納客、コアファンが多い。新規客はもっと大きいボディサイズの『クラブマン』や『クロスオーバー』にいく」と解説した。このあたりについて、生野氏に少し詳しく聞いてみた。

「クルマのポジショニングとして、今までのMINIのエリアじゃないところに『クロスオーバー』と『クラブマン』は登場した。だから、例えば輸入車の、『Cクラス』(メルセデス・ベンツ)とか『3シリーズ』(BMW)に乗っていた人で『そこまでガチガチのセダンじゃなくてもいいけど、ちょっといいクルマに乗りたい』という考えを持つ方が、少しサイズを落としながらMINIに乗り換える、みたいなことが起きた」(以下、発言は生野氏)

「そういう方は、今までのMINIのお客様とは少し違う。今までのコアファンは「MINIが欲しい」という人が多かったが、そういう風に輸入車から乗り換えてくる方は、そこまでMINIのブランドに強いこだわりがあるわけではないが、いいモノが欲しいというケースが多い」

  • 「MINIクロスオーバー」のPHV

    これが「MINIクロスオーバー」のPHVだ

ボディタイプで異なる顧客分布、MINI独特の立ち位置

これが新規客の傾向だが、今回モデルチェンジしたハッチバックについては、どのような顧客を想定しているのだろうか。「今回のモデルは、前の世代に乗っている人の乗り換えとか、あとは過去に、現行モデルより少しサイズが小さかったクロスオーバーを買った人が、そのサイズ感で5ドアに乗り換えるとか」というのが、生野氏の想定する購入客のイメージだ。

MINIの強みは「スモール・プレミアム」としての独特な立ち位置と生野氏は解説する。「コンパクトなクルマの方が運転しやすいというニーズは一定量あって、その中で、プレミアムなものが欲しいという方がいる。『スモール・プレミアム』といったりするけど、MINIはそういうポジショニングを取るブランドだ。こういうブランドは過去にいなかったので、MINIの個性も含めて、確固たるポジションを築いてきたのがこれまでの経緯。引き続き、そういうものを求める人にアプローチしていきたい」。これがMINIの販売戦略であり、日本で成功している理由なのだろう。