料理とエンタテインメントを融合させて一世を風靡した伝説のバラエティ番組『料理の鉄人』(フジテレビ系、1993~99年)の放送開始25周年を記念した「鉄人シェフ同窓会"絆の鉄人"」が、2月11日に都内のホテルで行われた。会場には、道場六三郎氏、陳建一氏、坂井宏行氏といった歴代の"鉄人"をはじめ、挑戦者、スタッフらが一堂に会する、約130人が参加。10分間の料理対決も行われ、当時の興奮そのままに大いに盛り上がった。
このイベントを企画したのは、番組の演出を務めていた田中経一氏。他にも『カノッサの屈辱』『とんねるずのハンマープライス』『愛のエプロン』といった名番組を手がけ、近年は小説家デビューも果たすなど活躍の場を広げているが、現状のテレビの世界をどう見ているのか――。
番組の同窓会でここまで集まらない
――歴代の鉄人が集結するなんて夢のようで、興奮しました! 今回のイベントはどういった経緯で実現したんですか?
昨年の秋に『料理の鉄人』をモチーフにした『キッチンコロシアム』(幻冬舎刊)という本を出したのですが、その時に道場六三郎さんや坂井宏行さん、陳建一さん、服部幸應先生などとお話をしたり、出版後もFacebookでお知らせしたら、当時の鉄人への挑戦者の皆さんたちから「面白かったですよ」とメッセージをいただいたりして、かつての"鉄人のネットワーク"が久々に戻ってきた感じがあったんです。それで、せっかくだから「同窓会」をやってみようと思い立って、挑戦者の人たちに1件1件電話で連絡をして集まってもらいました。
――料理人の皆さんたちは、結構横のつながりがあったりするんですか?
それが、あまりないんですよね。お店が変わったり、辞められた人も多かったんですけど、何とか人をたどってたどって、約80人くらいの方に来ていただきました。我ながら、本当によく集まったと思いますよ(笑)
――イベントでは皆さんとても楽しそうにしていましたが、手応えはいかがですか?
本当に皆さん大喜びで帰っていかれましたから、番組が好きだったんだなというのがよく分かりましたね。普通、テレビの番組が終わって20年ぐらいたって同窓会をやりますと言っても、なかなかここまで集まらないですよ。いかにあの番組に出て、人生が変わったり、ものすごい緊張が思い出に残っている人が多いかが分かりました。挑戦者なんて、ほとんど1回ポッキリの出演なのに、こんなに喜んでいただけるとは思わなかったです。
――番組プロデューサーだった松尾利彦さん(2014年逝去)の葬儀でも、ここまで集まりませんでしたか?
そうですね。それこそ、料理人の方には、今日初めて松尾さんが亡くなったことを知った人も多かったので、それをお知らせすることができたという点でも、この会ができて良かったと思いますね。
制作費は現在の2~3倍!
――あらためて、『料理の鉄人』という番組を振り返っていかがですか?
一番クレイジーな時代に作った番組ですね。あんな豪華なセットを組んで仰々しくやらせていただくっていうのは、今のテレビの世界では絶対にあり得ないことだし、番組開始当初、あの全盛期のフジテレビで視聴率が6%という中で続けさせていただいたという意味でも、本当によく成立したなと思います。後にも先にも、あのタイミングでしかできなかった番組でしたね。
――制作費はどれくらいかけていたんですか?
今の番組と比較したら、2倍、3倍はかかっていたと思いますよ。
――すごい! 陳建一さんは「また番組やればいいじゃん!」と復活を提案していましたが(笑)
皆さんから"「またやろうよ」コール"がすごくて。大変なんだよ!って思うんですけど(笑)