2月14日、ワールドツアー中の最新鋭エアバスA350-1000が東京(羽田空港)に初飛来した。同機は2月13日23:54に羽田空港に着陸し、14日には航空関係者や報道関係者に公開された。内覧会は、A350-900を2019年度より受領開始するJALの格納庫にて行われ、14日のバレンタインにかけて、エアバス・ジャパン代表取締役社長のステファン・ジヌー氏からは「義理チョコよりもかっこいい飛行機を」という言葉が、JAL代表取締役社長の植木義晴氏に贈られた。
JALのA350-1000は「夢と希望」の段階
植木氏がA350 XWBをトゥールーズで契約したのは2013年10月。実際に機体に触れるとともににおいをかぐことで、確信をもって選定したという。植木氏は分厚い契約書で飛行機という高額な契約する際、責任の重さゆえに手が震えたと話すが、2014年12月にカタール航空が初号機を受領して以降、初期故障がほとんどないという現状に対し、A350 XWBへの信頼性を改めて再確認したという。
現状JALは、A350-900を2019年度より納入予定、A350-1000に対してはまだ発表できる段階ではないとしているが、A350-900に関してはすでに仕様選定を終えており、A350-1000はボーイング777-300ERに変わる国際線のメイン機材として運用を予定している。
A350 XWBは就航時から8,000海里(1万4,800km)の航続距離を持ち、東京から欧州、あるいは北米へノンストップで飛行することができる。植木氏は仕様選定を「夢と希望」という言葉で表現し、「これから最高の飛行機にしていきたい」と語った。
標準の3クラス制で366席を装備
現在、A350-1000は中東およびアジア太平洋地域へ3週間にわたるデモ飛行ツアーを実施しており、14日夜には最後の目的地であるマニラへと向かう。デモ飛行ツアーにはエアバス社員など約50人が帯同している。
A350-1000は双通路型機におけるエアバス機最大の最新ワイドボディ機。日本ではJALが2013年にA350 XWBを31機(A350-900を18機、A350-1000を13機)発注している。JALへの引き渡しは 2019年度から行われる予定となっている。
A350-1000は標準型のA350-900より7m長い胴体を持ち、40%広いプレミアムクラスのスペースを確保する。A350-1000は標準の3クラス制で366席を装備し、18インチ(45.72cm)幅の快適なエコノミークラス席を備える。
エアバスの革新的な客室ブランド「Airspace」を装備するA350-1000は、最先端の設計と技術を採用し、最高レベルの空の旅を実現する。広々とした静かな客室によって、比類ない快適性と最先端の機内エンターテインメントサービスを提供する。
A350-900とシステムや部品が95%共通化
A350-1000はその他のエアバス機と高い共通性を保持し、特にA350-900とシステムや部品が95%共通化しており、同一タイプレーティングを備える。翼の後縁に改良を加え、6つの車輪のメインランディングギア、よりパワフルなロールス・ロイス社製Trent XWB-97エンジンを装備する。
A350-900と同様に最先端の空力・設計・技術を導入し、前世代の競合機より運航コストを25%削減。A350 XWBにはCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を53%用いるなど、全体の70%に最先端材料を使用することで軽量化と整備の簡素化を図っており、A350-1000の自重は129tという目標重量を達成した。競合機材である777-300ERと比較した場合、満席のA350-1000の方が自重だけの777-300ERよりも35t軽量化を実現するという。
A350-1000のコックピットには、大型機では初となるタッチスクリーンを搭載する。またA350-900同様、画面を大きくすることでインタラクティブ性を向上させる。
飛来したA350-1000MSN065(製造者番号 065)は3機のA350-1000テスト機の内の1機で、ビジネスクラス40席・エコノミープラス36席・エコノミークラス219席と、完全な客室を装備している。
A350 XWBファミリーはアジア太平洋地域で特に高い需要があり、合計14社から287機の受注を獲得している。これは世界の合計受注数854機の3分の1を占める割合となる。同地域の航空会社ですでにA350-900を運航しているのは、アシアナ航空、キャセイパシフィック航空、チャイナ エアライン、香港航空、マレーシア航空、シンガポール航空、タイ国際航空、ベトナム航空となっている。A350-1000初号機は2月20日、カタール航空に納入される。