毎年のようにこの時期になると猛威を振るうインフエンザや風邪。大事には至らないよう、手洗いやうがいを徹底して予防するのはもちろんのこと、感染しにくい抵抗力のある体づくりを心掛けたいものだ。

予防の観点から考えると、日々の食生活も重要な要素の一つとなってくる。予防に役立つ食材や、ウイルス感染後で体力が落ちた際にはどんなものを食べればいいのか……。きちんと活用できる対策を管理栄養士の板橋里麻さんに教えてもらった。

  • つらいインフルエンザにならないよう、日ごろの食事に気をつけよう

    つらいインフルエンザにならないよう、日ごろの食事に気をつけよう

腸内環境を整えてインフルエンザを予防

インフルエンザや風邪にかかりにくい体をつくるには、免疫力を高めることが一番。免疫の力を高めるには「腸内環境を正常に保つ」「粘膜を強くしてウイルスの侵入や炎症を防ぐ」という2点が大切となってくる。それぞれ、どのような食材を摂取すればよいか紹介しよう。

腸内環境を正常に保つ

良好な腸内環境のためには、納豆やヨーグルトといった発酵食品、根菜やキノコ類などに多く含まれる食物繊維を意識的に摂(と)るようにするとよい。年末年始の暴飲暴食が続いて胃腸に負担がかかっている人は、少し食事量をコントロールしたり、油っこいものを控えたりして、野菜中心の食事にしてみるとよいだろう。

  • 発酵食品を意識して摂取するように

    発酵食品を意識して摂取するように

粘膜を強くしてウイルスの侵入や炎症を防ぐ

まずは、ビタミンAの含有量が多い食材を食べる心掛けをしよう。ビタミンAは緑黄色野菜(ブロッコリー、かぼちゃ、にんじん、ピーマンなど)やレバー、卵などに多く含まれている。また、近年は野菜の皮、種などに含まれているファイトケミカルをスープに煮出して摂取することで、免疫力を高められると言われている。野菜の持つパワーをしっかり体内に取り入れるようにしよう。

  • 免疫の力を高めるためにも、緑黄色野菜をしっかりと食べたい

    免疫の力を高めるためにも、緑黄色野菜をしっかりと食べたい

ウイルスに感染してしまった後の食事

インフルエンザや風邪に罹ってしまうと食欲はなくなるし、インフルエンザにいたっては、水分補給するだけで精一杯という場合もありうる。まずは、医師に処方された薬でしっかり治すことに専念しよう。

回復期はエネルギー源になる糖質を摂取

回復に向かい食欲も少し出てきた場合は、エネルギー源になり体力回復をサポートする糖質の多い食材を摂取しよう。代表的な食材はイモ類やご飯、フルーツなど。加熱したり、すりおろしたり、おかゆやジュースにしたりなど、消化のよい状態にして食べると、弱っている胃腸の負担が少なくなるのでお勧め。下にまとめた食材も一緒に食べるとさらによいので、参考にしていただきたい。

●糖質をエネルギーに変えるビタミンB群……豚肉、大豆製品、貝類、キノコ類など。

●喉や鼻の粘膜を強くし、ウイルスへの抵抗力を高めることが期待できるビタミンA……緑黄色野菜(ブロッコリー、かぼちゃ、にんじん、ピーマンなど)、卵など。

●血流をよくするビタミンE……ナッツ、アボカド、かぼちゃなど。

ビタミンとファイトケミカルを豊富に含むポタージュ

発熱して食事を摂りにくいときや、まだ食欲がない回復時にお勧めなのが、消化しやすい野菜を使ったスープだ。野菜を煮てミキサーにかけるひと手間を加えると、喉通りがよくなり胃腸にも優しくなる。

そこで今回紹介するのが「かぼちゃとにんじんの豆乳ポタージュ」。鼻や喉の粘膜を強くし、ウイルスへの抵抗力を高めるとされるビタミンA,Eが多いかぼちゃ、同じくビタミンAが多いにんじん、体力回復に有効なビタミンB群が豊富な豆乳を使ったポタージュだ。種や皮を一緒に煮込むことで、免疫を高めるファイトケミカルも一緒に摂れるメリットもある。

かぼちゃとにんじんの豆乳ポタージュ

かぼちゃとにんじんの豆乳ポタージュ

材料(3~4杯分)

かぼちゃ 1/8 / にんじん 1/2本 / 玉ねぎ 1/2個 / 豆乳 200ml / コンソメ 小さじ1 / 塩 少々 / ブラックペッパー 少々 / 水 300ml

つくり方


1.かぼちゃは種を取り除いて一口大程度に切り、にんじんと玉ねぎは薄切りにしておく。

2.鍋に1と水を加えて加熱し、フタをして20~30分煮込む。かぼちゃは皮を取り除く。

3.2と豆乳、コンソメをミキサーに加え、攪拌する。

4.塩、こしょうで味を調える。

ポイント

■ファイトケミカルは揮発性が高いため、フタをすることで成分を逃がさずに煮込める

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