一生懸命は、必ず人を動かす

――ジョビィキッズでは、芦田愛菜ちゃんをはじめ人気の子役タレントを大勢輩出していますが、そのように表の世界に出られる子、出られない子はどのような違いがありますか?

愛菜(芦田愛菜ちゃん)も、梨央(鈴木梨央ちゃん)も、心(寺田心くん)も、他のレッスン生とは違う何か特別なことをしていたかというと、そんなことはまったくありません。他の生徒と同じように、お芝居やダンスなどレッスンに一生懸命に取り組み、努力をしていました。

ただ、あえて違いを挙げるとすれば、努力の方向性かもしれません。努力は無限にあります。彼らは、常に自分に何が足りていないかを考えながら、それら無限の努力の中から自分に必要なものを見極めて前向きに学び続けているように思えますね。

――親御さんは何か特別なサポートはされていましたか?

彼らの親御さんたちはとても協力的で、台本を一緒に読んだりして、子どもたちが真剣にお芝居に向き合えるようにサポートをしてあげていました。

今でこそ人気者の3人も、これまで何百回とオーディションに落ちていますし、挫折を何度も乗り越えてきています。でも、人生が常にうまくいくわけはありませんし、大切なのは挫折をどうやって乗り越え、自分の糧にしてきたか。彼らは、親御さんたちと一緒に乗り越え、自分の持っている可能性を信じて努力してきたんだと思います。

――本の中では、愛菜ちゃんが本番中に転んでしまったけど、笑顔で最後まで踊り切ったという話も書かれていましたが、それも強い精神力が窺えるエピソードですね。

コンサートの時にも隣で踊っていた鈴木福くんのマイクが外れてしまったことがあったのですが、そのときも愛菜は不自然にならないように福くんをフォローしていました。そういったトラブルのときも、冷静に行動する愛菜の姿を見ていると、本当にメンタルの強さを感じますね。

――そういったトラブルでの対応力も、日ごろの努力の賜物と言えるかもしれませんね。

大人でも、ついサボりたくなったり、つい天狗になってしまったり……と、邪念が湧くこともありますが、彼女たちは常に努力を怠りません。それには本当に尊敬の気持ちでいっぱいです。

努力は確かなものではありません。どれだけ努力してもうまくいかないことだってあります。子どもの頃って、頑張ってる姿を見せるのが恥ずかしくなる時期ってありますよね? 努力って何? 努力ってダサい! なんて考える子もいます。でも、彼らにそれがどれだけ大切なことかを伝えることが私たちの使命だと思っています。だからこそ、愛菜や梨央たちが好きな言葉は「努力」なんて言ってくれると、素直に嬉しいですね。

――それはきっと、スタッフの皆さんが本気でぶつかっているからでしょうね。

私たちは、いい役者を育てることはもちろんですが、何より社会に出たときに頑張ってもらえる人間になって欲しいという想いがあります。一生懸命は、必ず人を動かします。20年を迎えたこれからも、ジョビィキッズは子どもたち、親御さんたちに、それを伝えていける場でありたいです。

※画像はイメージ

筆者プロフィール: ジョビィキッズ

芦田愛菜、鈴木梨央、寺田心をはじめ、約1,000人が所属するN0.1子役タレント事務所。養成所は現在、東京のほか、神奈川・横浜、埼玉・大宮、千葉・本八幡、福島・郡山、栃木・宇都宮、愛知・名古屋、大阪・大阪、富山・富山にあり、3歳以上の子どもたちには、芝居、歌、ダンスのレッスンを行っている。また、基本的な礼儀やマナーも指導し、社会の一員として幅広く活躍していくまでをサポートしている。

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