日本健康開発財団 温泉医科学研究所はこのほど、「お風呂上がりに保湿すべき制限時間」を科学的に解明し、入浴中の保湿ケアにより過乾燥を防ぐ効果を明らかにした。
これまでの研究で、お風呂上がりに浴室を出ると急激なスピードで肌の乾燥が始まり、やがて入浴前よりも水分量が低くなることがわかっている。お湯で皮脂やNMF(天然保湿因子)、角層細胞間脂質といった本来肌に備わっている保湿物質が流出してしまい、肌の水分を保てなくなることが原因であるという。
今回、入浴後の急激な過乾燥が出浴後何分で訪れるのか、肌への悪影響を防ぐためには保湿ケアを出浴後何分までにするべきなのかを調べるため、出浴後の肌の水分量を時間経過で計測した。
検証の対象となったのは、入浴可能な健康に問題のない20~40代の女性14名。入浴前後の皮膚水分量の変化を計測したところ、出浴10分後までは入浴前より皮膚水分量が多く、統計学的有意差が認められた。しかし、以降の計測では、入浴前と同程度まで低下し、さらに出浴30分後、出浴60分後では皮膚水分量が低下して、入浴前と比較すると有意に低い数値となることがわかった。
皮膚科学の観点で見ると、保湿ケアは皮膚水分量が保たれているうちに行ったほうがよいという。今回の検証結果から考慮すると、皮膚水分量が有意差を持って入浴前より高い「出浴10分後」が保湿すべき制限時間であり、「保湿リミットは10分」であることが明らかになったとのこと。
次に入浴中の保湿による、出浴後の皮膚乾燥予防効果を検証するために、入浴中に保湿化粧品(泡パック状製品)を肌に塗布したかどうかで皮膚水分量を比較した。
その結果、保湿化粧品の塗布群は、無塗布群より出浴後の皮膚水分量が有意に高い結果となった。特に出浴1分後から2倍近い水分量を保ち、出浴60分後まで入浴前の肌水分量が持続したという。検証で使用した保湿化粧品は入浴中に塗布し、出浴前に浴室で洗い流して使う製品で、Wヒアルロン酸などの保湿成分が配合されているものであるとのこと。
今回の実験結果により、保湿すべきタイムリミットは出浴後10分以内であることと、入浴中に保湿化粧品を使う「お風呂保湿」により、保湿リミットが延びる可能性があることも明らかとなった。