京都の目抜き通り四条通の一本北に位置する錦市場。地下鉄「四条駅」から徒歩3分の距離にあり、390mになる通りの両側にはさまざまな商店が軒を連ねる。野菜や鮮魚を始め、京料理には欠かせない湯葉や生麩(なまふ)などの食材がそろい、約400年にわたり料亭から家庭の台所まで京の食文化を支えてきた場所だ。

平成5(1993)年に完成したアーケードは、錦市場を象徴する顔になっている

地域に密着した市場であるだけではなく、観光客が楽しめるグルメスポットもたくさん。中で食事ができる店もあるが、今回は手軽に食べ歩きが楽しめるものを紹介しよう。

まずは「錦の天神さん」にご挨拶

10時、錦市場に到着。お昼前後になると大勢の観光客でごった返すので、ゆっくりと巡りたいなら店が開いて間もない10~11時頃に行くのがオススメ。店ごとに定休日も異なるので、お目当てがある場合は事前に調べてから行くといいだろう。錦市場の入り口には、錦の青物問屋が生家として知られる画家・伊藤若冲のポスターが掲げられている。

錦市場の入り口。伊藤若冲のポスターが掲げられている

錦小路の東端には、「錦の天神さん」と京都の人に親しまれている「錦天満宮」があるので、まずは立ち寄ってみよう。天満宮の本殿には、平安時代の学者であり、学問の神様として知られる菅原道真公を祀っている。境内の地下からは、京の名水のひとつである「錦の水」が湧き出ている。

錦天満宮には地元住民のみならず、修学旅行生や外国人観光客など多くの人が訪れる

境内の地下からは京の名水「錦の水」が湧き出る

京都の街のど真ん中とは思えないほど緑も豊か

境内には臥牛の像は「撫で牛」と呼ばれ、背中や頭をなでるとご利益があるとされる。また、「からくりおみくじ」は人が近づくと神楽が鳴り出して獅子舞が踊り始め、コインを入れると獅子がおみくじを運んでくれる。

境内にある「臥牛の像」をなでるとご利益があるかも!?

人が近づくと獅子舞が踊り出す「からくりおみくじ」

ハリネズミも錦市場のおいしい顔

お参りを終えた後は、早速食べ歩きをスタート。まずは錦市場の名物にもなっている、井上佃煮店の「チョコレートコロッケ」(120円)を食べてみた。チョコレート×揚げ物の組み合わせが想像以上に合う! チョコの甘さや軟らかさもちょうどよく、ペロリと食べられる。

井上佃煮店ではさまざまなお惣菜がそろう

錦市場名物のチョコレートコロッケ(120円)。揚げ物とチョコの相性がバッチリ!

ハリネズミ饅頭(120円)というかわいいグルメも

「うちだの味どんつき」で販売している、「古都ほかまんじゅう・牛肉しぐれ」(350円)もぜひ味わってほしい一品だ。生地の中に、牛肉しぐれ煮、きんぴらごぼう、しば漬が入っている。きんぴらやしば漬の歯ごたえが楽しく、濃いめの煮物の味つけが肉まんによく合っている。

「古都ほかまんじゅう・牛肉しぐれ」(350円)は歯ごたえと濃いめの味つけがクセになる

京とうふ藤野直営店「こんなもんじゃ」では、こだわりの大豆と水で作ったお豆腐や揚げ、豆乳をたっぷり使ったスイーツなどを販売している。中でも人気の「豆乳ドーナツ」(300円/10個)は、食べ歩きにぴったりの小さめサイズ。くどくない豆乳の優しい甘さでパクパク食べられる。

京とうふ藤野直営店のこんなもんじゃでは、ソフトクリームやドーナツなどさまざまな豆乳スイーツを販売している

イチオシは優しい甘さの「豆乳ドーナツ」(300円/10個)

錦市場の始まりは、御所に出入りしていた近隣諸国の商人による鮮魚市。続いては、そんな鮮魚を用いたグルメたちを紹介しよう。