あの超マイペースな刑事が2年ぶりに帰ってくる……第1シーズンから6年という長期シリーズとなったテレビ朝日系ドラマ『遺留捜査』(新シリーズ7月13日スタート、毎週木曜20:00~)。
主演を務める俳優の上川隆也は、ここまで長く演じるキャラクターは今までなかったというだけあって、奔放さや、被害者に寄り添う思いを併せ持つ糸村聡という役に、強い愛着を感じているようだ――。
――まずは、今回の新シリーズ決定をお聞きになった感想を教えてください。
混じりっけなしにうれしかったです。実は、このままなくなっていくかもしれないし、何かの拍子で戻ってくるかもしれないし、どちらもあり得るだろうと思ってたんです。だから、またレギュラーで演じさせていただけるのを伺った時には、雑念なく「また1クール務められるんだ」という感慨に見舞われました。
――今回は京都が舞台です。撮影が始まって、京都ならではの部分を感じることはありますか?
確かに、現場の空気に"京都感"はあります。ただ、演じているのが違う性格の人物だったら、きっと違った面持ちで新しい職場を感じたろうと思うんですけど、こと糸村というキャラクターは、あまりそれを重たく受け止めていないようで、演じている僕自身も、これまでのシリーズと比べて大きく構えたり肩に力が入ることなく、いつもと同様に"ヌルっ"と糸村の役に入れました。自分でも不思議なくらい、初日のファーストカットから糸村でいられたんです。
――1クール(3カ月間)ずっと京都で撮影されるのは初めてと聞きました。夏の京都は暑くて有名ですが、これまで同様に背広を着ての演技は、汗が吹き出してきて大変そうですが…
何か対策ができるということはないのですが、覚悟はしています。背広を着るのは、それが糸村のスタイルなので、いかんともしがたいです(笑)。粛々と演じるだけですね。
――この糸村という役を演じてみて、愛着はいかがですか?
『遺留捜査』が始まったのは、2011年4月という、どうしても忘れられないあの東日本大震災(2011年3月11日発生)の直後でした。役者に何ができるのかを考えさせられた時期でしたが、被害者の思いに寄り添うこのドラマに、僕は意義ややりがいを感じることができたんです。今回は久々に演じるからこそ、あらためてあの時の思いを忘れたくないと思いました。
その上で、糸村という人物は、自分で演じておいてこう言うのも変ですが、確かに奇異な男ではあるんですけど、一方でどこか愛すべきキャラクターであるという実感はあります。もしそれが、こうして繰り返し作品を続けさせていただける要素なのなら、僕もうれしいです。なので、このクールでも色々な局面で糸村がどう振る舞うのかを、一番そばで眺めつつ楽しみたいと思います。
――糸村と言えば、そのショルダーバッグですが、やはり手放せないんですね。
このキャラクターを形作るにあたってのアイコンだと思っています。胸に"Sマーク"のないスーパーマンがありえないように、これが一式そろって糸村なんだと。細かいことを申しますと、前回から時間の隔たりもあり、初めてこのショルダーバッグは新しいものに変わりました。でも糸村にしてみたら、きっと物が入ればいいという考えなので、こだわっているようで、こだわりはないみたいです。トートバックでは彼の行動にきっと差し障りがあるので、ショルダーバッグを何軒も探したんじゃないでしょうか(笑)
――ちなみに、中身は?
適時必要なものが出てくるんです(笑)。ドラえもんの4次元ポケットように容量を超えた長い筒などは出てきませんけれども、これに入るものならば何でも出てくるし入れてしまうようで、そこは僕自身も毎回楽しみです。
――暑さ対策グッズも出てくるかもしれないですね。
なるほど(笑)。僕自身もよく分かっていないので、視聴者の皆さんも一緒に楽しみにしていただければうれしいです。いつぞやは包装の解かれた「あんパン」を入れてたりしたので、あのあんパンはその後どうなったんだろうと僕自身は心配なんですが、糸村は気にもしていないようです。そうしたあたりも、糸村の人となりの自由度の高さなんだろうというふうに受け止めています。