また、歯が痛いときは食事の内容にも配慮しなければならない。歯痛の原因が虫歯にある場合、食事の食べかす(食物残渣)が虫歯の穴や歯間部に入り込むと、その残渣が神経を刺激してさらに痛みが増す。痛みがある箇所を刺激しないよう、咀嚼(そしゃく)しやすい食事がポイントになると今村医師は指摘する。

「硬いものは噛(か)んだ瞬間に歯に直接衝撃を与えるため、おせんべいやフランスパンなどは痛い歯のところでは噛まないようにしたほうがよいでしょう。うどんやそばなど、噛みやすい柔らかいものを歯を使わずに食べたほうがいいと思います。『いつものように噛めないから』とほとんど咀嚼せずに丸呑みすると胃に負担がかかるので、うどんやお茶漬け、おじやなど消化のよいものを勧めます」

多くの砂糖を使用した菓子パンやスイーツは神経を刺激しやすく、虫歯の穴に入りやすいため控えた方がよいほか、レモンやグレープフルーツなど酸味が強い柑橘類もやめた方がよいとのこと。

今村医師は「歯が痛むようだったら早めの受診をすること、そして何より予防が重要です」と話す。好きなものを何の制約もなく普通に食べられることの幸せは、歯痛に見舞われた際にはっきりとわかるもの。日頃からのケアをきちんと心がけるようにしよう。

※写真と本文は関係ありません


記事監修: 今村美穂(いまむら みほ)

M.I.H.O.代表、M.I.H.O.矯正歯科クリニック院長、MIHO歯科予防研究所 代表。表参道デンタルオフィス 矯正歯科。日本歯科大学卒業、日本大学矯正科研修、DMACC大学(米アイオワ州)にて予防歯科プログラム作成のため渡米、研究を行う。1996年にDMACC大学卒業。日本矯正歯科学会認定医、日本成人矯正歯科学会認定医・専門医。研究内容は歯科予防・口腔機能と形態及び顎関節を含む口腔顔面の機能障害。MOSセミナー(歯科矯正セミナー、MFT口腔筋機能療法セミナー)主宰。