消費者庁は6月9日、平成29年版消費者白書を公表した。消費者事故に関し、エステサロンなどでの施術によって危害を受けるケースが増加していることや、お試しで使用した健康食品などがいつの間にか定期購入になっている事例などを報告した。
全国の消費生活センターなどに寄せられた消費生活相談の情報が登録されたデータベース(PIO-NET)に2016年度に収集された消費生活相談のうち、危害・危険情報は1万4,195件におよんだ。このうち、危害情報は1万908件で2015年度(1万698件)を上回った一方、危険情報は3,287件で2015年度(4,505件)を下回ったとのこと。
身体にけがや病気といった疾病(危害)を受けたという「危害情報」の内訳をみると、2016年度は多い順から「皮膚障害」「消化器障害」「擦過傷・挫傷・打撲傷」「熱傷」「刺傷・切傷」と並んでいた、
皮膚障害では、化粧品などによりかゆみや赤みが出たといったもののほか、健康食品を食べたら発疹が出たといったものが主な相談内容だった。消化器障害では、健康食品を食べたら体調不良になったというものや、外食したら下痢になったというものが主な相談だったという。
生命・身体に関する事故情報の事例では、20~50代が美容医療や美顔エステ、脱毛エステなどの施術で傷を負った事例が多くみられたと言及。サロンなどでHIFUという「高密度焦点式超音波」や、それに類する超音波技術を応用したという機器で施術を受けたところ、「熱傷になり、治るまでに半年かかると言われた」「神経の一部を損傷した」などと、治療に数カ月を要する危害を負ったといった相談が寄せられたという。
こういった危害情報の年齢層別事故発生場所を見ると、20代は店舗で62.8%が事故に遭遇している。ただし、店舗での事故発生頻度は30代で49.7%、40代で44.0%と徐々に減っており、50代以降になると家庭での発生頻度が最多となっている。
インターネット通販での商品購入が当たり前のようになった昨今において、通販のトラブルが増加していることも明らかになった。同白書によると、ダイエットサプリメントなどの健康食品を「お試し」で購入するつもりが、定期購入になってしまったというケースが2016年はよく見受けられたという。
その商品の内訳として青汁などの「飲料」や酵素・ダイエットサプリメントなどの「健康食品」、そして、美容クリームやニキビケアクリームなどの「化粧品」に大別できるとのこと。2016年の相談では女性が約8割と多く、中でも40代が約3割で最多だった。そのほかに10代、20代の若年層も約2割を占めていた。
飲料、健康食品、化粧品の3つの中ではとりわけ健康食品の相談件数が増加しており、2012年は386件だったが2016年は9,678件と約25倍にまで急増。スマートフォン経由で「ダイエット効果や美容効果がある」などの広告をSNSなどで見て消費者が注文することが多いが、「5カ月以上の購入が条件」などの定期購入が条件であることが、他の情報より小さい文字で表示されているといったケースがよくあるとのこと。
なお、白書の詳細は消費者庁のホームページより確認できる。