ネット銀行というと「金利が有利でコストが安いけどちょっと使いづらいかも」と思っている人もいるのでは? 面倒だからと使っていないあなたはもしかして損をしているかもしれません。使い方によって便利におトクに使えるケースもあるので、どんな使い方ができるのかまずはチェックしてみましょう。
使い方によって有利なネット銀行は違う
ネット銀行とはインターネット取引がメインの銀行のこと。実店舗を持っていなかったり、あっても数が少なかったりという特徴があります。その代わりにコンビニなどの提携ATMが使えたり、振込手数料が安かったり、預金やローンの金利が有利だったりと窓口がない代わりのメリットもたくさんあります。
これらの条件はネット銀行ごとに異なるので、どのような使い方をするかによって有利に使えるネット銀行は違ってきます。ですからまずは使い方を考えた上で、自分にとって有利なネット銀行を利用するといいでしょう。
メイン口座として使うならコストと利便性を重視!
ネット銀行をお給料振込口座に指定できる場合にはメイン口座として利用することが可能です。ネット銀行をメイン口座にする場合に重視したいのはコストと利便性。振り込みや入出金手数料が安くてふだんの生活圏で便利に使えることが第一条件です。
ネット銀行はお金の出し入れが不便で手数料がかかるというイメージを持っている人も少なくありません。しかし入出金の回数制限がなく手数料がかからない銀行もあるので、メインとして便利に使うならそうしたネット銀行が候補となります。
例えばイオン銀行ならイオンのATMで24時間何度でも手数料無料でお金の引き出しが可能です。ほかにも新生銀行やソニー銀行も提携コンビニATMでの現金引き出しは24時間何回でも手数料無料です。SBJ銀行も提携ATMのうち指定された一部のATMは何回でも手数料無料としています。
都市銀行などでは自前のATMでも夜間は利用できなかったり時間外手数料が取られたりするケースが多いので、日中ATMをなかなか利用できないという人はむしろこうしたネット銀行の方がおトクで便利に使えます。自宅や会社近くに便利に利用できるATMがある銀行を選択するといいでしょう。
また振り込みを頻繁に行う必要がある人は、振込手数料もチェックします。「月に○回までは手数料無料」としているネット銀行もあるので、利用頻度によって有利な銀行を選ぶといいでしょう。無料の回数は預入残高やローン残高などの取引状況によって決めている銀行が多いため「あまりお金を持っていないけど振り込みが多くなるべくコストをかけたくない」というなら、月7回(一部銀行宛ては月3回)まで他行宛てに無料で振り込みができるSBJ銀行が有利です。
お金を貯める銀行として使うなら、利便性より金利を重視
メインバンクはお金を使う口座と位置づけ、家賃や住宅ローン、公共料金やクレジットカードなどの引き落としなど毎月ある程度きまった支払いに必要なお金を準備しておくことが必要です。
会社員の場合は勤め先で都市銀行などをお給料の振込口座に指定されているケースが多いと思いますので、その口座はメインバンクとして生活資金をキープしておく口座とし、貯める口座をネット銀行に作るという方法を考えるといいでしょう。
2つの銀行を使い分けるポイントは、毎月出て行くお金を費目ごとに予算を決めて、必要な分だけメインバンクの口座にいれておくことです。足りなくなったら困るので多めに入れておいて、余ったら貯蓄に回そうと考えていてはいつまでたってもお金は貯まりません。強制的に使うお金と貯めるお金は分けておくのが貯蓄体質になるためには必要です。
貯めるお金はそれほど頻繁に出し入れする必要はないので、ネット銀行の中で少しでも有利に貯められそうな銀行を選びます。毎月お給料が出たらすぐにそちらの銀行に移すようにしましょう。
都市銀行の預金金利は軒並み0.01%ですが、そんな中でも好金利なのがオリックス銀行で3年、5年ものが0.3%と30倍です。そうとはいえコンマ以下の数字なので、預入金額が100万円で3,000円と利息は微々たるものですが、少しでも有利に貯める意識を持つという意味で利用価値はあります。超低金利の今、長期間資金を固定したくないというのであれば、2週間で満期を迎える定期というのもあるので用途に沿った満期の商品を選ぶといいでしょう。
ネット銀行選びのポイントは?
大事なことは、知らない間に使ってしまわないために強制的に貯蓄資金を分けることにあります。また月に1回入金するのに便利に使えるATMが身近にあることも、貯めるネット銀行選びの鍵となります。
将来的に証券商品で増やすことも考えているなら、証券口座と連携しやすい住信SBI銀行、大和ネクスト銀行、楽天銀行なども検討するといいでしょう。
貯める・増やすをメインに考えたネット銀行選びでは、最低限の入出金にコストがかからないことも大事な条件です。預入残高によって出金手数料無料の回数が決まっている銀行もあるので、しっかりチェックして無駄な手数料を払わないように工夫しましょう。
社会人になって最初に口座を作った銀行をずっと使っているという人は、このように使い方によってもっと有利で便利なネット銀行があるかもしれないので、一度見直してみるといいでしょう。
堀内玲子
ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして金融・マネー記事などの執筆活動を中心に、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)など。