三菱自動車工業は先週末、新型コンパクトSUV「エクリプス クロス」を東京でお披露目した。同社にとって久々の新型車はどんなキャラクターなのか。ライバルが多いコンパクトSUV市場の中で自慢できる点はあるのだろうか。商品企画担当者に聞いた内容をもとに解説していくことにしよう。

日本初披露となった「エクリプス クロス」。今のところ公開されているのは海外仕様車だけだが、そのうち日本でも発売となる

アウトランダーとRVRの“中間”ではない

三菱自動車が2017年3月の「第87回ジュネーブ国際モーターショー」で世界初披露した新型コンパクトSUVエクリプス クロス。日本では4月15日~16日に東京・お台場で行われた「モータースポーツジャパン 2017 フェスティバル イン お台場」が初披露の場となった。

会場に着くと、三菱ブースの中央に鮮やかなメタリックレッドに塗られた実車があった。ボディサイズは全長4405mm、全幅1805mm、全高1685mmで、ホイールベースは2670mm。最近デビューしたSUVで言えばスバルの新型「XV」に近い。

でもスタイリングは、XVを含めた他のSUVのどれとも似ていない。直線基調で、ボディサイドのラインは明確なウエッジシェイプを描く。しかも無駄なラインがなくシンプルでもある。

明確なウエッジシェイプを描くキャラクターライン

展示車が赤い理由

エクリプス クロスの商品企画を担当したCPS室チーフ・プロダクト・スペシャリストの林祐一郎氏に、まずこのスタイリングの意味を聞いた。

「既存のSUV、つまりアウトランダーやRVRとは別のラインとして考えました。力強さとスタイリッシュさを両立したクーペ風のスタイリングはその象徴です。そのためにボディサイドのキャラクターラインは、生産現場の人たちにも協力してもらって、彫りの深いラインを目指しました」

その一方で、三菱SUVの伝統である走破性については最初からこだわったという。そのためにアプローチアングルやデパーチャーアングルなどをしっかり確保している。

展示車のボディカラーを赤としたのは、三菱のコーポレートカラーということもあるが、2013年の東京モーターショーにプロトタイプに当たるコンセプト「XR-PHEV」を出展した時、「あの赤いクルマ」と呼ぶ人が多かったので、そのイメージを大切にしたという。

ちなみにこの赤、従来の色より彩度の高さにこだわっており、色合いを出すのに何度も試行錯誤を重ねたという。具体的には、通常の上塗り塗装の上に、さらに半透明のレッドとクリア層を塗り重ねることで、深みがあり、彩度が高い高品質なカラーにしたとのことだ。