新しく会社に入り、慣れない通勤ラッシュに戸惑っている人も多いかもしれない。少しは座りたい、と思う人も多いだろう。そこで、通勤電車ではどうやって座るのか? ということについて、方法を考えてみたい。

まず、何よりも座れる可能性が高いのは、列車の始発駅から乗車することである。ただし、始発駅周辺に住んでいる人ばかりではないので、難しい場合も多い。

では、途中駅から乗車した人は、どう座るべきか。

座席の前に立つ

通勤電車に乗る人は、ドア横の広いスペースに立つか、それとも奥まで進んで座席の前に立つかのどちらかを選ぶことになる。その際に、座席の前に立つことができれば、途中から座れる確率はかなり高くなる。通勤電車に乗る人は、ドア横で立っているのではなく、奥まで進もう。

通勤電車の乗客は、途中駅で下車することも多い。その中には、座っている人も含まれる。では、どんな駅で下車することが多いのか。

まずは乗りかえ駅だ。それも、都心部から多少離れた場所にある乗りかえ駅で席を立つ人がいる。たとえば京王線の明大前駅や、小田急線の下北沢駅、埼京線の赤羽駅などである。ここからは別の路線に乗って会社に向かうという人もいるのである。もちろん、都心部に直通する路線の場合は、山手線上の駅で降りる人も多い。

次に、オフィス街がある駅である。たとえば京王新線の初台駅のように、意外なところで乗降が多いところもある。そういったところでは、席を立つ人がかなり見られる。

一般に、オフィスが集中している地域と、そうではない地域がある。オフィスが集中している地域の駅では、当然ながらそこで働く人が多い。もし、山手線の外側にそういった場所があれば、そこから座れる確率はかなり高くなる。ただし、座れるチャンスをものにするには、座席の前に立つしかない。

乗客をよく観察する

たとえ座席の前に立っても、ぼんやりしていると隣に立っている人に座られてしまうことがある。前に座っている人を、よく観察することが大事だ。

前に座っている人が、席を立つ兆候を見せたらこちらも座る心構えをする。では、席を立つ兆候とはどんなものなのか。

まず、座っている人がスマートフォンや新聞、本をかばんの中にしまったら、「この人は席を立つのだろうか」と想定してもいい。そして、減速して駅につこうとしたとき、周りをよく見るようになったら、席を立つと考えてもいい。立ち上がったら、すみやかにそこに座っていこう。

また、会社のバッヂや、学校の制服などを見て、この人はどこで降りるのか、を判断するというのもひとつの方法だ。大学生ふうの人だと、大学の最寄り駅で降りることも多い。そういうところも見きわめも、座るためには大事だ。

優先席について

この「座る方法」を実行する場合でも、他の乗客への配慮は忘れないようにしよう。とくに優先席は体調の悪い人やお年寄り、妊娠している人などを優先したい。疲れているだけではなく、体調を崩していたり、大きなけがをしていたり、見えない内部障害を持っていたりする場合もある。

筆者が駿台予備学校で教わった英語科の大島保彦先生が、こんなことを言っていた。「老人に席を譲りましょうというのは道徳ではない。目の前に老人がいる一方で、自らも疲労などを抱え、席を譲るのはつらいというときにどうするのかを考えるのが道徳だ」ということである。

この問題にはなかなか答えは出しにくい。ただし、どうしても優先席の前にしか立つことができず、その席が空いた場合にどうするかは、考えておいたほうがいいことである。

著者プロフィール: 小林拓矢
1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。フリーライター。大学在学時は鉄道研究会に在籍。鉄道、時事社会その他についてウェブや雑誌・ムックに執筆。単著『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に共著者として参加。

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