強気な価格設定、その背景は

UMAMI BURGERをハンバーガーとして考えると、単価は群を抜いて高額だ。高額である理由が明確であり、顧客が理解し、承認してこそ成り立つ価格設定だと感じる。

例えばすし屋のカウンターと比較してみよう。好みのネタを注文し、職人が握りたてを提供してくれる。食材やシャリは最適な温度に保たれ、客の注文を待っている。UMAMI BURGERも、それぞれのこだわり素材が、最適な温度と方法で調理され、出来立てが客に提供される。目の前で握ってくれるすし屋と持ち帰りのすし屋で、価格設定の違いに疑問を持つ客は少ないだろう。同じことがUMAMI BURGERに当てはめて言えるのではないだろうか。

UMAMI BURGERが最初に高価格を設定したのは、商品に妥協しないという姿勢の表明でもあるし、自信を表現する1つの方法論とも見てとれる。この価格は、食べ物としての「こだわり」×居心地の良い店舗「空間」×商品の「価値」をベースにして設定していると想定される。価格が高いと感じるか、お得と感じるかは客次第。同様にうまいと感じるか、感じないかも客次第というわけだ。

店側のこだわりや価格設定を客はどう感じるか

作り手が商品に込める思いやこだわりは歓迎だ。しかし、作り手のこだわりが消費者に理解、納得されてこそ成り立つ構図でもある。キャッチボールではないが、消費者が受け取れる球を投げることが重要だ。キャッチャーが構える場所にボールを投げることから試合は始まる。

米国で有名なハンバーガーチェーンが日本に進出した、という捉え方も否定はしない。しかしながら、この店はハンバーガーの新しい可能性を表現する、または新しい価値を提供する“レストラン”として考えるのが適当だろう。

2020年までに10店舗は控えめな目標?

2020年までに10店舗の展開を計画しているUMAMI BURGER。とても控えめな店舗数である。うま味の発祥地である日本は、同店にとって第2の故郷でもあるはず。この控えめな出店計画は、これから着実に足元を固めながら成長を目指すということなのか。それとも、上振れを前提とした設定なのか。

どちらにしても、従来のハンバーガーに対する考え方を覆しかねない、アメリカン・ヌーベル・キュイジーヌが登場したことは間違いない。この挑戦に、日本の消費者はどう反応するか。ハンバーガー業界にとどまらない外食産業全体のトピックとして見守っていきたい。