職場で注意すべきポイント

ビジネスシーンを想定したとき、このような行動・傾向が気になることがあります。

□会議や面談中に落ち着かず、ソワソワしてしまったり、席を離れてしまったりする

□会議中や面談中に、相手の質問を待っていられず途中で話し始めてしまう、他の人の言葉の続きを言ってしまうなど、自分の順番が待てない

□貧乏ゆすり、手足をもじもじ動かす、指で机をたたくなどの癖がある

□時間にルーズで、よく遅刻をする

□注意散漫で集中力がないので、仕事がはかどらない

□細部を見過ごす、作業が不正確だったり雑だったりする

□よく忘れ物や失くし物をする

□大事なものが管理できない

□仕事や約束の日時、期日や期限・締切を守れない

□上司に指示されたことをすぐに忘れてしまう

□いろんなことに手を付けては中途半端になってしまう

□物事の優先順位をつけられないので、一番にやるべき大切なことを後回しにしてしまったり、まだ先でよいものを先にやってしまったりする

□自分では頑張ってやっているつもりなのに、よく注意されたり怒られたりしてしまう

□(このような行動のクセを)自分でも気を付けようと思っているのに、なかなか直せない

ADHDの場合、本人が故意にやっているわけではなく、頑張ってやっても"できない"のですから、いくら注意したとしても現状を変えることは難しいです。注意されても、心ここにあらずという感じで聞いていないような印象を受けることもあります。では、どのように対応すればいいのでしょうか。

上司や同僚ができる対処法

職場の上司や同僚など周りの人ができる対処法としては、次のことが挙げられます。

・曖昧な表現を使わない。

・具体的に示す。

・物事の優先順位を1から順に説明し、「○月○日まで、○時まで」など期日や期限をはっきりと提示する。

・メモを書く、表や図にしてわかりやすいところに貼っておくなど、言葉だけでなく視覚的に示す。

ADHDは完治する病気ではありませんが、薬で症状を軽くしたり、環境を整えることによって症状を軽減したりすることはできます。社会生活では、自分の苦手分野を克服するのではなく、得意なことを生かした方がよいでしょう。仕事や日常生活においても支障が出ているような方は、精神科で相談してみてください。

※写真と本文は関係ありません


取材協力: 高木希奈(タカギ・キナ)

精神保健指定医、日本精神神経学会認定専門医、日本精神神経学会認定指導医、日本医師会認定産業医。
長野県出身。聖マリアンナ医科大学卒業。現在は、精神科単科の病院で精神科救急を中心に急性期治療にあたっている。また、産業医として企業にも勤務経験あり。
著書に『間取りの恋愛心理学』(三五館)、『あなたの周りの身近な狂気』(セブン&アイ出版)、『精神科女医が本気で考えた 心と体を満足させるセックス』(徳間書店)、電子書籍『女医が教える飽きないエッチ』(App Store、Kindle)など。趣味は、海外旅行とスキューバダイビング。オフィシャルブログはこちら。