「VRサイクル……なんて面白そうな響きなんだ。それ以上に、つらい現実を少しでもいいので忘れたい……」との思いから早速、筆者も「THE TRIP」にトライしてみた。近年は全く運動をする機会をつくっておらず、30代も中盤に差し掛かり体力面に不安はあるが、現実逃避をしたい一心から体験を決意した。

Tシャツとハーフパンツに着替え、専用シューズ「RP3」にも履き替えて"臨戦態勢"に。そして専用バイク「Group Cycle」にまたがる。バイク上にてペダルをこぐ回転数(RPM)やこいでいる時間などが可視化できるため、エクササイズ中の目安とすることが可能。また、足への負荷はバイクのギアを調整することで自由に変えられる。そのため、初心者から上級者、さらには老若男女問わずに楽しめるというわけだ。

専用シューズ「RP3」

こぐ回転数(RPM)やこいでいる時間などがわかる

そしていよいよプログラムがスタート。巨大スクリーンにVRによる架空の建造物や道が映し出されると、その美しさに思わず息を飲む。

「Welcome to THE TRIP! 」

一緒にプログラムを行うインストラクターの掛け声が威勢よく室内に響く。バーチャル空間での旅を満喫すべく、ペダルを勢いよく踏み込んだ。

バイクをこぐと画面上の景色がどんどん変わっていく

まずは「Group Cycle」の扱いに慣れなくてはいけない。ギアの重さは軽いほうから「ライト(light)」「モデレート(moderate)」「ヘビー(heavy)」の3段階がある。VRで進む道は平たんなロードばかりではない。上り坂や下り坂も当然、存在する。インストラクターの指示に従い、その時々によってギアを変えることでいっそうのカロリー消費を狙うというわけだ。

「おしりに(効果を)効かせたい方はかかとから(ペダルを)プッシュ、プッシュ!」

「立ってこぎましょう! スダンドアップ、ワンツー、ワンツー」

インストラクターの指示がこだまする中、バイクの使い方にも慣れ、映像と併せて鳴り響くサウンドを楽しむ。目の前に流れる上り坂も下り坂も、難なく疾走していく。これは気持ちいい。

上り坂を立ちこぎで疾走する

インストラクターはドS

しかし、40分というサイクルプログラムはまだ始まったばかりだ。小手調べが終わったら、一気にトレーニングモードへ。上り坂の画面に合わせ、「ギアをヘビー状態で25秒間こぐ」→「25秒間のインターバル」を4セット。途中、立ちこぎ(ダンシング)もはさむため、お尻を何度も上下動させて25秒ひたすらこぐ。開始10分経過時点で、額や背中が汗でじっとりとしだす。

インターバルのカウントダウンが終わるとひたすら上り坂

次なるコースは下り坂&上り坂コラボの繰り返し。下り坂はギアを軽くして速い回転でひたすらこぐ。風を切る疾走感を味わったら、今度はギアを重くして上る。映し出される近未来都市は、どこか映画「トロン: レガシー」や「ブレードランナー」の世界をほうふつとさせる。結構負荷のかかるコースではあったが、映し出されるVRの映像美をまだ楽しむ余裕があった。

上り坂と下り坂を繰り返す

お次は上り坂×4回。ギアを重くしつつ、こぐスピードもアップすることをインストラクターから要求される。このコースを走っている時点で20分経過。全身の毛穴という毛穴から汗が噴出しているのがわかる。

「皆さんに一つだけご情報を。インストラクターは基本、ドSです。『やばい』という皆さんの言葉は大好物です(笑)」

「インストラクタージョーク」ではなく多分、真実なんだろうと思った。

「ギアアップ、ギアアップ。3、2、1、スタンドアップ! お尻は深く、胸を張って!!」

鳴り響くドSの声に合わせ、ペダルを必死にこいだ。