日本商工会議所は2月1日、「時間外労働規制に関する意識調査」の結果を発表した。調査期間は2016年10月3日~11月4日、有効回答は全国の中小企業1,581社。

時間外労働規制、74.4%が「柔軟な制度設計」を希望

時間外労働を可能とする、いわゆる36協定(労働基準法第36条で定める届け出)を締結している企業は72.0%(1,139社)、締結していない企業は26.7%(422社)だった。36協定を締結している企業のうち、限度時間を超えて時間外労働ができる特別条項の届け出を行っている企業は50.6%(576社)だった。

36協定の見直しについては、53.8%が「賛成」、40.7%が「反対」と回答。「賛成」と答えた企業に見直しの方向性を尋ねると、「一定の上限規制は必要だが、業種業態・企業規模等を考慮し、一律に規制するのではなく、柔軟な制度設計とすべき」が圧倒的に多く74.4%に上った。

一方、「反対」と答えた企業の見直しの方向性は、「特別条項の存在だけが長時間労働の原因ではないので、法改正しても効果的でない」が30.8%、「現行制度には保険的な意味があり、現状維持とすべき(業種・業界特性、突発事故への対応等で残業はやむを得ない)」が25.9%などとなった。

36協定 見直しの是非について(出典:日本商工会議所Webサイト)

長時間労働の是正に向けて効果的だと思う見直し策は、「長時間労働を肯定するような労働者・経営者の意識改革」が最も多く39.0%。次いで「長時間労働を是正するというトップの強いコミットメント」が36.7%、「残業を生みやすい業種業界特性・商慣行の見直し(業務の繁閑をなくす工夫を業界全体で行う等)」が36.3%と続いた。

長時間労働の是正に向けて効果的でないと思う見直し策では「労働法・制度の規制強化(勤務間インターバル規制の導入、違反者に対する罰則・監督指導の強化等)」が25.6%で最多。以下「発注者(大企業や顧客など)との取引条件(発注ルール)の見直し(不規則・短納期の要求をなくす等)」が21.9%、「残業削減に対するインセンティブ付与(テレワークや所定労働時間短縮など自社取組に対する助成の拡大等)」が21.6%、「36協定の特別条項(現行制度)の見直し」が21.4%となった。