赤ちゃんは「温めすぎてはいけない」とよく言われます。赤ちゃんが暑いと感じれば、汗が出るのですぐに対処することができますが、冷えている時にはどうやって見極めればいいのか、悩んだことはありませんか。また、赤ちゃんの防寒対策をどこまですべきか、考えてしまうパパ・ママも多いかもしれません。
赤ちゃんが冷えている場合の対処方法や、冷やさないための対策について、小児科医の竹中美恵子先生に聞きました。
Q.赤ちゃんが冷えているかどうか判断するためには、どうすればいいですか?
「唇が青白い」「頬が真っ赤になっている」などの特徴が赤ちゃんに見られる場合は、体がかなり冷えている可能性があります。また機嫌が悪く、ぐずった状態が続く場合には、体温調節がうまくいっておらず、赤ちゃんが寒がったり暑がったりしている可能性があるので、全身を触って確かめてみてください。衣服で隠れている部分まで冷えていると、体全体が冷えていると判断できます。
Q.赤ちゃんが冷えることによって、どんな病気になりますか?
体の冷えが、直接的に病気をもたらすということはありませんが、体温が下がった状態で時間が経過してしまうと、風邪などの感染症にかかりやすくなります。また、低体温になってしまうこともまれにありますが、家庭の中で多くみられる症状ではありません。
Q.赤ちゃんの体が冷えている場合、どこをどのように温めると効果的でしょうか?
首と脇の下、足の付け根には太い血管が通っているので、その部分を温めてあげると体も早く温まるでしょう。ただ、完全に冷えている赤ちゃんに対しては、全身を毛布でくるんだり、抱っこしてあげたりするのが一番早いと思います。
Q.一方、温めすぎてはいけない部位などありますか?
手足は赤ちゃんにとって温度を感知するための大切な部分なので、温めすぎない方がいいと思います。特に就寝時に手袋や靴下をはいたまま寝かせてしまうと、体温調節しにくくなります。手足が冷たいと、赤ちゃんの身体は熱をどんどん作り出そうとするのですが、手足が温かいと、身体まで温かいと錯覚してしまって、体温を下げようとしてしまうからです。夜寝ている間に体が冷えてしまい、次の日から熱を出す子も少なくありません。
Q.赤ちゃんの体温調節をする際に、赤ちゃんの服装などパパ・ママが特に気を付けた方がいいことはありますか?
赤ちゃんの体温は大人よりも平均して高いため、通常は汗をかいてしまうことの方が多いでしょう。しかし、その汗が冷えることによって体全体が冷えてしまうこともあります。
直接肌に触れるものは、熱放散が良く、汗を吸収しやすい綿などの素材のものがおすすめです。赤ちゃんは大人と違い、体温調節の機能が未熟なので、こまめに様子を確認することが大切です。体が冷えていないか、また着せすぎて汗をかいていないかなど、赤ちゃんの身体のサインにできるだけ早く気づいてあげられるよう、気を付けてもらいたいと思います。
竹中美恵子先生
小児科医、小児慢性特定疾患指定医、難病指定医。
アナウンサーになりたいと将来の夢を描いていた矢先に、小児科医であった最愛の祖父を亡くし、医師を志す。2009年、金沢医科大学医学部医学科を卒業。広島市立広島市民病院小児科などで勤務した後、自らの子育て経験を生かし、「女医によるファミリークリニック」(広島市南区)を開業。産後の女医のみの、タイムシェアワーキングで運営する先進的な取り組みで注目を集める。
日本小児科学会、日本周産期新生児医学会、日本小児神経学会、日本小児リウマチ学会所属。日本周産期新生児医学会認定 新生児蘇生法専門コース認定取得
メディア出演多数。2014年日本助産師学会中国四国支部で特別講演の座長を務める。150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加する「En女医会」に所属。ボランティア活動を通じて、女性として医師としての社会貢献を行っている。