次の事例は、彼氏の一言から美容整形へのプチ依存を経験したBさんのストーリー。

■事例2 美容整形がクセになったBさん

機械パーツの組み立て工場に勤務するBさんは、自分の顔がコンプレックスで、する必要のない場面でもマスクをしていました。

「それまでの職場も、お弁当を詰めるのとか仕分けとか、あんまり人と話さなくて済むようなものだけでした。特に顔の輪郭が、どうダイエットしても痩せなくて。話すときも下を向いてましたね」

そんなBさんに転機が訪れたのは、25歳のころに生まれて初めてできた彼氏。彼氏の何気ない「二重だったらもっと可愛かったよな」という一言は、すさまじいショックだったと語ります。それがきっかけで、美容整形で既にメジャーとなっていた二重のプチ整形をして大成功。

ところがBさんは、それで整形を終わらせませんでした。

「部屋の掃除って、してる間に"あそこも汚れてる、ここも洗ってない"って気になりだすじゃないですか? 整形ってそれにすごく似てると思うんですよね。顔の掃除をもっとしなきゃ、みたいな(笑)」

Bさんの顔は、整形素人の私から見ればナチュラル美人ですが、本人はこう打ち明けます。

「鼻もいじりましたし、顔の脂肪吸引もしてますよ。ほら、耳の後ろに痕が……。あと顔に溶ける糸を入れて引っ張り上げてますし、ボトックス注射もしましたね」

なんと顔だけで5回の施術を経験。耳の後ろの痕を筆者は見せてもらいましたが、全然わかりませんでした。先生から「まだいじれるけど、そろそろ依存したくなるから止めたら」とストップをかけられたそうです。それから友達に紹介してもらった心療内科でカウンセリングを受け、今はもっぱらメイク派へ。

「いや~、あのまま依存してたらヤバかったかも! でもやっぱり整形してから、男の子からの扱いが変わったっていうか。若いころは、バスを待ってるときに通りすがりの知らない人に『ブス』って言われたこともあったんですよ。そういうのが無くなって、生きやすくなったなあとは思います」

Bさんの場合は、ストップをかけてくれる誠実な医師が担当だったことも大きいでしょう。多数の術例を見てきた美容整形外科医だからこそ「やりすぎ」のサインに気付きやすいのかもしれません。本格的な整形依存になる前にプチ依存で止められて何よりです。

依存症になる「前」に医者へ相談しよう

お酒や美容整形以外にも、SNS、占い、ギャンブル……。依存「症」までいってしまうと、"自分は依存なんかしていない! "と信じたくなります。そうなると、医師の力がなければ元へ戻れなくなるのです。

プチ依存であるうちは、心の内で「何となくヤバいな、今の私」と思えるはず。心の片隅に罪悪感や危機感があるなら、専門の医療機関へ相談してみましょう。まずは、抱えているストレスについて話すだけでもスッキリするはずです。

※本コラムは個人の体験や取材に基づくものであり、医療的な効果などを示唆・保証するものではありません
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著者プロフィール: トイアンナ

外資系企業で約4年勤務。キャリアの一環としての消費者インタビューや、独自取材から500名以上のヒアリングを重ねる。アラサー男女の生き方を考えるブログ「トイアンナのぐだぐだ」は月間50万ページビューを記録。現在もWebを中心に複数媒体でコラムを連載中。