18歳になったらできること

最後のテーマは「18歳になったらできるようになること」。例えば18歳以上になると「クレジットカードの作成」が可能になる(ただし、未成年の場合は親権者の同意が必要になる上、親権者は未成年が結んだ契約に対しての撤回権も有する)。

瀧所長「18歳になると作れるクレジットカードは、手持ちがなくても使える便利なものです。ただ、延滞すると(信用情報に残るので)後々家を買うときなどに困ったりします。ですから、払える額だけを使うこと。作る分にはいいけど、払えなくなるまで使うのは駄目です」

また、大学生になれば「一人暮らし」を始め、入学した大学では「いろいろな人と出会う」人も多いだろう。これらは自立心が養われるなど、プラスの面があるが、同時にマイナスの要素もある。

瀧所長「一人暮らしで一番気をつけることは『暇であること』です。暇をアルバイトや友達付き合いで埋めるのですが、予算のないところでやることが多い。初めて『やりくり』をしないといけなくなります。そういうときに、面倒臭がらずにきちんと計画を立てること。また、大学やアルバイト先では『本当にいろいろな人』と出会います。そういう人たちはすごく楽しそうに生きていることもあるでしょう。お金の使い方がぜんぜん違う人と付き合うときに、ファッションなど身の丈にあっていない自己主張のための支出がかさむことがあります」

瀧所長によると、18歳から起こりうるこの3つの要素が重なると、お金のトラブルにつながりやすくなるそうだ。

瀧所長「『クレジットカード』『一人暮らし』『いろいろな人に出会う』の3つが良くない状態で同時に重なると、借金などお金のトラブルを抱えることになってしまうのです。ちゃんと、『何のためにお金を使っているのか』を意識してみることが重要です」

グループワークを行う高校生

終わりに

「高校2年生向けの金融教室」と聞くと、「ちょっと早すぎるのでは?」と思う人もいるかもしれない。

だが、ここ数年で「18歳」という年齢に対する定義は「子供」から「大人」に大きく変わろうとしている。2016年6月に施行された改正公職選挙法に基づき、選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられたことは記憶に新しいし、9月には政府が成人年齢を現行の20歳から18歳に引き下げるための民法改正案を翌年の通常国会に提出する方針を固めた。

現在の法律にもとづいて「大人」と「子供」の違いを考えると、大人(20歳以上)には飲酒や喫煙が認められ、クレジットカードの作成やキャッシング・ローンなどの契約を保護者の同意なしに結ぶことが可能になっている。法改正で18歳が成人となると、高校生もしくは高校卒業直後の青年にも前述の権利が付与される可能性がある。

しかしながら、権利の対象がより拡大される一方で、日本の教育現場ではお金に関して実践的な教育を受ける機会が圧倒的に不足している。また、家庭でお金に関する教育を行っているという人もそれほど多くないだろう。

そうした「お金の知識不足」が原因で、自分をうまくコントロールできない若年層がトラブルに巻き込まれることは想像に難くない。成人年齢を20歳と定める現在でも、知識を持たないまま大学生になった若者がクレジットカードを使いすぎて延滞してしまったり、安易な気持ちで借金を負ったりとお金のトラブルに巻き込まれている。

ましてや成人年齢が18歳からとなり、親権者というストッパーが外れる時期が早まると、それだけお金に振り回される「リスク」も高まる。そう考えると18歳からのお金の教育は早すぎる、ということはなく、むしろ遅い、とすら言えるのかもしれない。